弟じゃない弟と、秘密の2人暮らしはドキドキに溢れてる。
「あ、ねぇねぇ真白!」

「ん?」

「おやつ作ろう!」

「おやつ?」

「クロワッサン、買って来たの!」

じゃんっとスクールバッグの中から取り出して見せる、帰って来る途中にスーパーに寄って買って来た冷凍のクロワッサン。
家のオーブンで焼くだけで焼き立てのサックサクのクロワッサンが楽しめるらしいからおやつにいいかなぁって。

「何それ!おいしそう!」

「でしょ、一緒にやろうよ!」

すぐに着替えてキッチンへ、真白もすぐにやって来た。

パッケージの裏に書かれた焼き方の説明を見ながら髪の毛をまとめようと手ぐしでササッとといてゴムを…

「やったげる」

真白に持ってかれた、奪われるように。

「…できるの?」

「うん、任せてやったことないけど」

「ちょっと!」

もう!ってちょっとだけ振り返る、真白が髪を触ってるからそれ以上は動けなくて。

「でも瑠璃の見てたら出来るよ」

にぃって八重歯を見せたから。

「……じゃあ、やって」

すぅーっと大人しく前を向いた。

何度か髪の毛を乾かしてもらったことはあるけど、結んでもらうのは初めてだから…

ちょっとだけドキドキしちゃう、だってここキッチンだし狭いし2人くらいしか通れないし。

だってこのまま、後ろから…

なんてことあったら何も言わない真白と、言えない私のこの空間が無性にそんな気持ちにさせる。
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