弟じゃない弟と、秘密の2人暮らしはドキドキに溢れてる。
「安達さん!」

階段を下りて廊下を歩いてると後ろから名前を呼ばれた。

全然馴染みのない声だけど、誰だろう…?

「はい…?」

「あーよかった、1度お姉さんにも確認しようかなって思ってたの」

お姉さん?って私のことだよね、私のことをお姉さんって呼ぶってことは真白から見てだから…

「真白くんの担任の横江(よこえ)です」

「担任の先生…!」

30代くらいっぽい女の先生だった。

さすがに1年の先生は接点なくてたぶん初めて話す、だけど紗矢は知ってるみたいで横江先生って声をかけてた。

「えっと…真白の担任の先生が何ですか?何か…あっ、真白何かありました!?熱出したとかそんなっ」 

「ううん、三者面談のことなんだけど…」

三者面談?

1年生は今日から始まるって言ってた三者面談、そのことで私に真白の担任の先生が確認したいことって…


何?


「真白くんだけ提出されてないの」

「え…?」

「何度も言ったんだけど、わかりましたって言うだけで結局今日まで出してくれなくて…」

私、言ったよね…

お母さんに言えばいいよって、言ったよね?

どうして…

「真白くん、三者面談どうするかお姉さん聞いてないかな?」

真白は言わなかったの?

「…いえ、何も」

きゅぅっと両手をグーにして力を入れる。

俯きたくなる気持ちを抑えて必死に顔を上げる。

「そっか…、お姉さんに聞いてもわからないよねありがとうね」

どうして私はいつも何も知らないんだろう。

「すみません…っ」

「ううん、こちらこそごめんね」


どうして真白は何も言ってくれないの?
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