弟じゃない弟と、秘密の2人暮らしはドキドキに溢れてる。
走って帰った。

早く家に帰りたくて、肩から落ちたスクールバッグも気にしないでとにかく足を動かして。


走って、走って、きっともう真白は家に帰ってるって思いながら…



「真白…っ!」


飛び込むように家の中に入った。

ダダダダッと廊下を駆けてリビングまで、乱れた息を整える余裕なんかなかった。

「ましっ」

「おかえり~、どーしたのそんな急いで」

でもいつもと変わらない様子で私に微笑みかけて、冷蔵庫から取り出したペットボトルのお茶を注いでいた。

「あ、お茶飲む?入れよっか」

自分の分を注いで、私の分も入れてくれようとしてコップを手に取る。

でも今はそれどころじゃなくて、オープンキッチンの前を詰め寄るように。

ぜぇはぁ肩を上下に揺らしながらつい声は荒くなっちゃって。

「真白、なんでお母さんに言わなかったの!?」

「え、何を?なんかあった?そんな勢いよく…」

「なんかあったじゃないよ!」

イマイチ理解できてなさそうな真白は首を傾けペットボトルの蓋を閉めた。

くるっと私に背を向けて、ペットボトルを戻そうとして冷蔵庫を開ける。

「三者面談!」

ピクッと冷蔵庫のドアを閉けた手が止まった。

「お母さんに言いなよって言ったじゃん!?なんで言わなかったの!?」

一呼吸置いて、ゆっくり冷蔵庫を閉めた。
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