弟じゃない弟と、秘密の2人暮らしはドキドキに溢れてる。
「…真白、おばさんのとこ行くの?」

「何、急に?今そんな話だっけ?」

「笑わないで!真剣に話してるの!」

コップを置いた。まだ半分以上お茶が残ってる。

「…行かないよ」

「じゃあっ」

「わかんないけど、たぶん」

ずっと真白のことを見てるのに全然目が合わない、真白がこっちを見てくれないから。 

ずっと視線を下に向けたまま、目を伏せて…


それはわざとなの?

それとも…?


「わかんないけどって何?自分のことでしょ!?」

のらりくらりな態度につい熱くなっちゃって、追い詰めるみたいな言い方しちゃった。


ハッとした。

その瞬間、真白が顔を上げたから。


「…っ」


そんな目、初めて見た。

鋭く睨んだ刺さるような瞳。


でもすぐにふっと笑った。


ううん、笑ってはなかったかもしれない。



笑ってるように見せたんだ。



「でも母さんがそう言うなら、俺がここにいる権利はないよね」

「え…なんで?お母さんが言っても別にっ」
 
きっと私はちゃんとわかってなかったんだと思う。

自分の気持ちで赴くまま真白に言い聞かせるだけ言い聞かせたんだ。

「母さんがおばさんのとこに行きなよって言ってるんだよ」

真白の気持ちなんて、考えてなかった。

考えてるつもりでわかってあげてなかった。

「それってそうゆうことでしょ?」

笑ってるのに笑ってない表情が痛い、胸に刺さるみたいで。
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