弟じゃない弟と、秘密の2人暮らしはドキドキに溢れてる。
ずっと真白は弟だと思ってた。


会えなかった間も真白のことを忘れたことはないよ。

今だって大事な弟なことに変わりはないの。



少しだけ、別の感情が沸いてしまっただけで。



「……はぁ」

やばい、呼吸しただけなのにナチュラルにタメ息ついたみたいになっちゃった。

家にいてタメ息はよくない、絶対。

「しかもリビングにスマホ忘れたし」

せっかく自分の部屋に来たのにスマホがないことに気付いてもう一度部屋から出た。

えー、どこ置いたんだっけ?ソファーかな?

「瑠璃っ」

リビングに向かって廊下を歩いていたら前からお母さんがやって来た。小脇にパジャマを抱えてこれからお風呂に入るっぽい。

「さっき真白には話したんだけど、今週の日曜日ね真白のおばさんが来るから」

全身に電気が走るみたいにゾクッと身震いがする。

「瑠璃も家にいてね、一緒に話聞いてほしいから」

どうなったのか気になってたけど、聞きたくなくて聞けなくてそのままだった…なかったことにならないかなって密かに思ってたけどちゃんと話は進んでたんだ。

「じゃあ母さんお風呂入って来るね!」

…まだ返事してないのに。

一方的に話すだけ話して脱衣所へ入って行った。


聞く話なんていないよ、私。

聞いたところで、どうしたらいいの?


子供の意見はいつだって聞いてくれないじゃん。


離婚した時だってそうだよ。



大事なことはただ聞かされるだけなんだ。
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