弟じゃない弟と、秘密の2人暮らしはドキドキに溢れてる。
もう一度、息を吐いてリビングまで歩き始める。

モヤモヤする気持ちを飲み込んで、怯んでしまった手をグッと動かしてドアを開けた。

「……。」


…あれ、真白いない。


部屋にいるような気してなかったからまだリビングにいるのかなって思ってたけど。

…まぁいいか、スマホ探して部屋戻ろっかな。

えっと、さっきソファーで使ってたからたぶんそこだと思うんだけど…

「……あ」

スマホはソファーの上にあった。やっぱり使ってそのままだったんだ。


だけど…


窓の外、締め切ったベランダに真白の背中が見えて。


何、してるのかな?

景色でも眺めてる?

ここ3階だからそんなよくは見えないけど。


「……。」


あの日もそうだった。

8年ぶりに真白が帰って来た夜もそうやって、ベランダから外を眺めてたね。


それって何を見ていたの?

本当にただ…


「真白、…暑くないの?」

そろーっと窓を開けた。ちょっとだけドキドキしながら10センチぐらい。

「あぁ瑠璃ねーちゃん…涼しいよ、最近の夜はだいぶ涼しくなったよ」

そうなんだ、まだ全然暑くて家の中はエアコンつけっぱなしだから夜が涼しいって感覚はなかったから。
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