弟じゃない弟と、秘密の2人暮らしはドキドキに溢れてる。
「…子供の頃ね、真白がいなくなっちゃってすごい寂しかったの。いつも振り返ったら後ろにいた真白がいなくなってポカンと穴が開いたみたいな」

幼かったあの頃、手を掴んでたらどうなってたんだろうって何度も考えた。

どうして掴まなかったんだろうっていっぱい後悔もした。


「ずっと真白にいてほしかった」


真っ直ぐ真白の顔を見て。

長い髪を風に吹かれながら。


「私、ずっと1人だったから」


「……。」


風で乱れる髪を押さえて耳にかける、ちょっとだけ真白から視線を外して。

「お母さん…出張多くて、いっつも1人で留守番してたの。あれって寂しいよね、置いてかれたみたいで」

1人で平気なフリをして、精一杯の笑顔で送り出すの。

大丈夫だよってお母さんにも自分にも言い聞かせて。

「仕事だからしょうがないんだけど、でもそれとこれは別じゃん?寂しいものは寂しいっていうか…」

顔を上げて真白の方を見る。

小さく深呼吸して少しだけ口角を上げて。


「本当は泣いてたんでしょ?」

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