弟じゃない弟と、秘密の2人暮らしはドキドキに溢れてる。
あの日、あの夜、このベランダで。

こうやって外を見ていたよね。


あの時私が見た姿は間違いじゃないよ。


「コンタクトのせいなんかじゃないよね」 


“昨日コンタクトしたままお風呂入っちゃってさ、全然取れなくて…こすってたら涙出て来ちゃって”

振り返った時の表情、咄嗟に瞳の周りを拭いた仕草、それにすぐに作り変えた笑顔…


全部が不自然だったもん。


「てゆーかコンタクトなんかしてないでしょ」

「…!」

ニッと笑って見せた。

そのまま下に降りてベランダに出る、お母さんがいつも洗濯物を干すのに使ってるサンダルを履いて。

「コンタクト付けてるとこ1回も見たことないし、私も目はいいから気付いたんだけどお風呂上りだって夜だって見にくそうにしてるとこ見たことないもん」

“もしかして見えてない!?” 

“は?見えてるけど??”

だからそんな嘘、すぐわかっちゃった。

嘘だってわかって思ったの、あの日の涙は本物だって。


あの夜真白は1人で泣いてたんだよね。



1人で寂しかったから泣いてたんでしょ?

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