弟じゃない弟と、秘密の2人暮らしはドキドキに溢れてる。
「ねぇアイス買ってもい?あ、半分コする?」

近くのスーパーに来たはいいけれど、冷凍庫の前で取り出したモナカのアイスを顔の横に配置するようにして首をコテンと傾け八重歯を覗かせる。

何その子犬みたいな顔…

チワワか、チワワなのか!

「いいけど…歩きだから溶けちゃうよ」

「食べながら帰ろうよ、これなら半分コ出来るもんね」

ぽいっと私の持ってるカゴにアイスを入れた。

アイスを買ってもらえてそんなに嬉しいのか満足げな表情で私の前を歩き出した。その顔もぽわぽわして可愛い。

てゆーかこんなに可愛く成長してるのは想定外過ぎるんだけど。

子供の頃超えて来るってあるの?

あの頃以上のクオリティで育つって何!?

どんな遺伝子なのそれ…


だからかな、なんかドキドキしちゃうんだよ。


「瑠璃ねーちゃん持つよ」

スッと手を伸ばして私からカゴを持って行く。

「ありうがとう…」

慣れない背丈に慣れない声、私の真白はずっと止まったままだから。

重たいカゴだって軽々しく持てるようになったんだね。


たまに何を話そうか迷っちゃう。

8年間はやっぱり長くて。


「ねぇ瑠璃ねーちゃんはお風呂上りは何飲む派?」

「え?普通に水だけど」

「俺は絶対牛乳なんだよね」

「あぁいるよねそーゆう人、銭湯とかのイメージだけど」

ひょっこり八重歯を見せながらにゃはっと笑って。

「買ってもい?」

こんなとこはめちゃくちゃ弟って感じだけど。

「いいよ、買ってこ」

「わーい、やった」

これはちょっと安心する。

「真白昔と変わらないね、ちっちゃい時から牛乳好きだよね」

「え、そーだっけ?」

「そうだよ」

あの頃の真白がいるみたいで安心する。

まぁ弟だもんね、こんなもんだよね。

8年だって関係ないよね。


これからまた姉弟(きょうだい)になれるよね、私たち。
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