弟じゃない弟と、秘密の2人暮らしはドキドキに溢れてる。
「…お母さんはわかるでしょって言ったけど、私にはそれがわからなくて」

あの時は急だったから、熱くなっちゃってただ感情をぶつけるみたいな言い方しちゃった。

あんなのよくなかったから、次はちゃんと思ってることを言葉にしなきゃ。

「ずっと寂しかったの、お母さんたちが離婚した時からずっと真白と離れ離れになっちゃって…あの頃私は子供だったから仕方ないんだって無理矢理納得させてたの」

言ったって叶うはずないから、それにそんなことを言ったらお母さんがどんな顔するかわかってた。

「真白だけじゃない、お父さんだって…家族がバラバラになっちゃったみたいで悲しかったっ」

あ、やばい感情が流れ込んで来る。

押さえてたつもりなのに波のように押し寄せてっ


「…!」


俯きそうになった。

そしたら涙がこぼれちゃうかと思った。


でも、真白が手を握ってくれたから。

テーブルの下、そっと伸ばした手をぎゅっと。


「母さん、俺…母さんが笑顔で迎え入れてくれたことすごい嬉しかった」

「真白…」

「瑠璃、ねーちゃんも久しぶりに会ったのに…優しくしてくれて嬉しかった」


真白の手は震えていた。

私の手を包む真白の手が。


「俺も…、父さんとみんなで過ごした毎日が好きだったから」

だから握り返した、ぎゅぅって力いっぱい握りしめた。
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