弟じゃない弟と、秘密の2人暮らしはドキドキに溢れてる。
「あぁーーーーーー緊ちょっブクブクブクブクゥー…っ!」

最後はじゃぽんってお風呂の中に潜った。ついつい大声出しちゃいそうになったから、でも我慢できなくてお湯の中で叫んだ。

「ぷはぁっ」

髪の毛を乾かしてあげたら満足したのか相変わらず犬みたいに喜んでたし、しっぽ付いてたら振ってたと思うあれは。
真白が喜んでくれたならそれはいいんだけど、なぜかそれがなんか…

恥ずかしくなっちゃってすぐお風呂に逃げ込んだ。

はぁっと息を吐いて、グーっと背中を伸ばして浴槽にもたれる。

「……。」

背中、意外とちゃんとしてた。

あんなに可愛い顔してるのに肩幅もちゃんとあるし、筋肉だってあるし…


男の子だった。


昔からそうだけど。

ずっと男の子なんだけど。


だけど…っ 


こんなことは思っちゃいけないの。

私は真白のお姉ちゃんなんだから。


でも、胸に手を当てれば心臓はドキドキ鳴り続けていて。


「ダメだよ…」


だって、姉弟(きょうだい)だけど姉弟(きょうだい)じゃない。

弟だけど弟じゃない。


じゃあ真白は私の何なの…?


「…ううん、弟だ!」

ザバァッと水しぶきを上げながら頬を両手でパンッと叩いた。


何言ってるの、私。

弟でしょ、だからここに来たんでしょ。

ここに帰って来たんだもん。


そうでしょ?
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