弟じゃない弟と、秘密の2人暮らしはドキドキに溢れてる。

Life.4)

「瑠璃どうしたの?寝不足?」

「え?」

朝イチ、教室のドアを開いたらおはようより先に言われた。

カチッとメガネを直しながら。

「目の下、クマすごいよ」

「え!?」

すぐにスマホを取り出して鏡代わりに確認した。

うわ、ひど!顔ひど!

「どうしたの?何かあった?」

「え…っ」

つい口が引きつっちゃって、そんな顔をした私の意味がわからない紗矢はきょとんとしてた。

「別に!ちょっと遅くまで漫画読んじゃって!」

でも言えるわけない、こんなこと言えるわけない!

真白とのことなんか言えるわけない…!!

「そういえば真白くん」

「えっ!?」

「…何?そんな驚く?」

「ううん、驚いてない!全然驚いてないよ!?ま、真白がどうかした!?」

名前を言われるだけでドキッとしちゃう、だって何か気付かれたらどうしようって変に焦るっていうか…

「もう完璧らしいね、乃愛が言ってた」

「そ、そうなんだ?それはよかった、芸術祭どうにかなりそうで」

そっか、合唱の練習は上手く進んでるみたいなんだ。

もう完璧なんてすごいじゃん、歌上手いって言ってたもんね紗矢が。

スクールバッグを机の上に置いた。
ファスナーを開いて教科書を取り出そうと…


「優しいんだってね、真白くん」


ふと手が止まってしまった、半分くらい開けた状態で。

「顔もいいけど中身もいい~!って興奮気味に言っててさ」

「へ、へぇ…乃愛ちゃんが?」

「うん、あれはもう好きになっちゃったんじゃないのかな」

強引に指先に指令を送ってもう一度ファスナーを引っ張った、シュッと強めに引いて。


「真白くんのこと」


でも聞こえないフリなんてできなかった。
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