弟じゃない弟と、秘密の2人暮らしはドキドキに溢れてる。
「もう練習行かないでいいの?」

「うん、もう覚えたから」

キランッと言わんばかりに眉をつり上げてキッチンの蛇口をひねった。

ジャージャー出て来る水の中に泡だらけのお皿をくぐらせて、真白が洗ってくれたお皿を受け取って隣の食器乾燥機の中に並べていく。

真白が作ってくれた明太子パスタはおいしかった。

「合唱に参加して歌ってみたんだけど、これなら本番もイケそうかな~って思ったから」

「そっか、がんばったんだね真白」

「瑠璃ねーちゃんも芸術祭聞きに来てよ」

「うん、行く行く」 

「絶対だよ!?」

学校の行事だもん、ある意味鑑賞は必須みたいなもので。
でもテキトーに返したことが真白にはちょっと不服だったっぽい。

「それであとは家でもできるし、去年瑠璃ねーちゃんたちが歌った曲と同じなんでしょ?」

「課題曲変わらないからね」

最後の1枚のお皿を、ただ渡されるだけなのにドキッと胸が音を出して。

「瑠璃ねーちゃん教えてよ」

目を合わせたから。

「私真白みたいに上手くないよ!」
 
そんなに見られたら逸らしたくなっちゃうじゃん。
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