弟じゃない弟と、秘密の2人暮らしはドキドキに溢れてる。
「瑠璃ねーちゃん、俺の歌聞いたことあったっけ?」

「あ、紗矢が言ってたの!紗矢って乃愛ちゃんのお姉ちゃんね、同じクラスなんだ!」

「あぁ小牧さんの」

キュッと蛇口を閉めた。台拭きでキッチンを拭いたら、手を洗って掛けてあったタオルで手を拭いた。

「だから明日からは一緒にご飯食べるから」

「…別に義務じゃないから無理しないでいいよ」

「無理とかじゃないし」

食器乾燥機のスイッチを押した。ゴォーっと音が鳴り出して、少しうるさくて。

「だって1人でご飯って寂しいじゃん」

狭いキッチンはどうしても距離が近くなってしまう、奥に入ってしまった私は真白がどいてくれないと出られない。

「1人の夜って寂しくない?なんか全世界に1人ぼっちみたいになる気がして俺苦手なんだよね」

意味なくキッチンの淵に手を掛けたまま動けなくて。

「だから一緒にいてくれない?」

少し微笑んで首を傾ける。

「弟からのお願い♡」

手を合わせて、ねって媚びるみたいに。

「…こーゆう時だけ弟出すんだ」

「弟でしょ俺、瑠璃ねーちゃんの」
  

そうだよ、弟だよ。

ずっとずっと私の弟だよ。
 

変わらない… 



真白は弟だもん、好きになっちゃダメだよ。


ダメなんだよ。


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