弟じゃない弟と、秘密の2人暮らしはドキドキに溢れてる。
「真白…、私大丈夫だから」

手を離した、力抜けるみたいにすーって私の方が保てなくなった。

「え、何がっ」

「乃愛ちゃんの前で私の話あんまりしない方がいいよ」

「…なんで?」

「変に思われるよ」

明らかにそんな目をしていた、乃愛ちゃんは。

おかしいって言われてるみたいだった。

「何を思われるの?」

「……。」

気付けば転げ落ちていたスクールバッグを拾い上げて肩に掛けた。

「瑠璃ねーちゃんっ」

「…いろいろと、困るでしょ真白も。こっちに来たばっかりなんだから」

髪の毛で顔を隠すように俯いたままリビングから出ようと足を向ける、もうこれ以上は言えることがなくて…言えることができなくて。

声が震えちゃいそうで。

「ちょっと待ってよ瑠璃ねーちゃん!」

「…。」

「なんでそんなことっ、俺は全然構わないけど!」

自分の部屋に駆け込んだ。 

鍵をかけて何度も呼びかける真白の声から逃げるみたいに。

「俺は瑠璃ねーちゃんにそうやって思われる方が嫌だよっ」

耳を塞いで。
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