弟じゃない弟と、秘密の2人暮らしはドキドキに溢れてる。
まだお母さんとお父さんが仲良かった頃、写真を撮ってた記憶はあるの。

だからこの奥底に、もしかして…


「あっ」


1番奥底から茶色い封筒が出て来た。

もう何年も前からここにあったみたいでぺしゃっと潰れた跡のある封筒を開ける、封筒を逆さにしカサカサと振ると数枚の写真が出て来た。

「あった、これだ!」

たぶん別れた時にほとんど捨てちゃったと思うんだよね、だから残ってるのはほんの数枚。

これは捨てられなかったのかな、私も写ってるしね。

「懐かしいなぁ」

1枚、1枚順番に見ていく。薄っすらとしかない記憶でも、やっぱり真白のことはよく覚えてるから。

「真白は覚えてるかな?私のこと」

8年、真白は小学校2年生だったから…覚えてないかもしれないなぁ。

「この頃の真白可愛い~!」

ぱちって大きな目が女の子みたいでよく間違えられてたっけ?色も白いし、学校でもちっちゃい方だったからさらに女の子みたいに見えちゃってね。

笑うとふわぁ~ってしてチワワみたいだったんだよね。

わー、今思い出しても可愛いしか出て来なくてぽやぽやしちゃう!

「これはお父さんも写ってる」

いつもお父さんがカメラを持ってたから、あんまりお父さんと写ってるのはなくて。私と真白とお父さんが写ってる写真はこれ1枚しかなかった。

「お父さん…」

ペンギンの前で楽しそうにみんなで笑ってる、水族館へ行った時の写真かなすごく楽しそう。

「…お父さんにも会いたいな」

静かな部屋がそうさせるのか、急に思い出に引き込まれそうになる。


お父さんにも会いたかった。

お父さんにも、だけどもうお父さんには…
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