弟じゃない弟と、秘密の2人暮らしはドキドキに溢れてる。
「お父さんのこと裏切ってないかな、私」

預けなきゃよかったとか思ってないかな、そう思うと不安になるんだ。

「いんじゃない?」

真白が横に並んだ。

鏡越しに私と目を合わせて。

「だって俺今しあわせだもん」

洗面所の両手をついて、そのまま今度は顔を傾けてこっちを見た。

「ね?」

にひっと笑って、ひょこっと八重歯を見せる。

「………うん」

直視できなくてすぐに前を向いちゃったけど。


だって可愛いんだもん!

可愛い!ずるい!可愛い!!!


溢れ出そうになる気持ちをぐーっと抑えて胸にとどめて飲み込む、ぎゅっと握ったくしでまたブラッシングし始めた。

「真白はさ」

「ん?」

「その…いつから知ってたの?」

「何が?」

きっと真白は知らないものだと思ってたから、まだ幼かった真白がまさか知ってたなんて思わなかった。

「私たちに血の繋がりがないんだってこと…」

私だけじゃない、お母さんとも。

本当は家族じゃなかったんだって知って、それを聞いて悲しく思ったりしなかったのかな…

「んー、いつだろ?もう物心ついた時から知ってた気がする」

「そんなに前から!?」

全然私より前じゃん、物心ついた時っていうことはまだお母さんとお父さんが結婚してた頃?

私たちが一緒に住んでた頃…?
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