任侠☆バイオレンスラブ
部屋に着くと、樹さんは布団のしまってある場所を教えて隣の部屋へと戻って行った。
部屋に1人になった私は制服を置き、言われた所を確認する。
そこには敷布団と掛け布団、タオルケットがしまわれていた。
まだ寝ないけどそれらを取り出し、畳の上に敷き、寝る準備をする。
そういえば・・・スマホの充電器がないから充電ができないんだよな。
そう考えながらスマホの電源を入れて充電を確認すると、まだ90%あった。
これなら明日までは持つかな?
「おい、聞こえるか?」
そんなことを考えながらスマホをしまった時、ドアの向こうから樹さんの声が聞こえてくる。
「樹さん?どうしましたか?」
襖を開けて顔を出すと、少し驚いたように目を見開いて私を見る。
用事があって声をかけたはずなのに、樹さんは何も話さない。
「・・・あの、樹さん?」
「あぁ、悪い。・・・さっき言い忘れてたが、親父からの伝言だ。ここで過ごすことは他言無用で頼む。親友とかに聞かれても喋るなだってよ」
「はい、わかりました」
私の言葉で話し出した樹さんに返事をする。
まぁ、確かにここら辺で有名な兵頭組にお世話になってる、なんて言ったら卒倒しちゃうもんね。
「・・・あー、それとな」
「はい?」
私から目を逸らし、頭を搔く樹さん。
なんだろう・・・言い難いことかな?
「ホイホイと扉を開けるな。危ねーから」
「?樹さんは危なくないですよ?」
「・・・そうじゃねぇっての」
首を傾げながら返事をすると、ため息をつきながら片手で顔を覆う樹さん。
私、何か変なこと言ったかな?
「まぁいい。俺が気をつければいいだけの話だ」
顔を覆っていた手をよかし、首を押さえる樹さん。
そんな樹さんにハテナが浮かんだ。
「なにを気を付けるんですか?」
「・・・ホントにわかってねぇのかコイツは・・・どんだけ危機感ねぇんだ・・・」
「え?」
「なんでもねぇ。いいから寝ろ」
ボソッと呟いた言葉が聞こえなくて聞き返すけど、なんでもないと言って答えてくれなかった。
シッシッと手を払いながら私を部屋の中へと入るようにジェスチャーする。
「はい、おやすみなさい」
「あぁ、おやすみ」
そう言って、隣の部屋へと戻っていく樹さん。
彼が部屋の中へと入ったのを見送ってから私も扉を閉めた。