任侠☆バイオレンスラブ
第4章 共同生活
翌日──
目を覚ますと、見覚えのないところにいた。
一瞬戸惑って辺りを見渡した時、昨日の出来事を思い出す。
そうだ・・・私、兵頭組の屋敷で寝てたんだった。
ゆっくりと体を起こし、背伸びをする。
今何時だ?
「おい、起きてるか?」
何時か確認しようとスマホを確認しようとした時、部屋の外から声がかかった。
この声、樹さん・・・?
「あ、はい!今起きました!おはようございます!」
「あぁ、おはよう。来い、朝飯の時間だ」
「あ、待ってください!今行きます!」
布団を片付け、軽く寝癖を治したあとに扉を開く。
外に出ると、樹さんが腕を組んで壁に寄りかかって立っていた。
「来たか。行くぞ」
「はい」
私が出てきたのを確認したあと、腕を組むのをやめて歩き出す。
その後を小走りで追いかけた。
樹さん、脚が長いから歩くの早いんだよね。
そんなことを思いながら後を追いかけている時、後ろを振り返る樹さん。
その直後、小走りしなくても追いつけるぐらい、歩くのがゆっくりになった。
歩幅、合わせてくれたのかな?
そんなことを考えながら、樹さんの顔を見上げる。
目が合うことはないけど、樹さんの表情はどこか優しげだった。
「あれ?樹とお嬢さん?」
樹さんのことを見ている時、曲がり角から矢吹さんが顔を出した。
そして、そのまま私達の方へと歩いてくる。
「おはようございます、矢吹さん」
「おはよ、お嬢さん」
あいさつをすると、優しい笑みで返してくれる矢吹さん。
そして、そういえばと言いながら視線を私から樹さんに移した。
「樹ぃ〜、前を歩くのもいいけど、並んで歩いたらどーだ?その方が、お嬢さんの歩幅に合わせて歩きやすいぞー?いちいち後ろ振り返って確認しなくていいからな」
「・・・うるせぇ」
樹さんの肩に腕を回して、小さめの声で樹さんに助言する矢吹さん。
だけど、樹さんはそれを振りほどいた。
「・・・行くぞ」
「あ、はい」
私の腕を掴み、矢吹さんから逃げるように歩みを進める樹さん。
そんな彼のあとを追って歩き始めた。
「ちゃんと隣歩いてやれよー」
その場で立ち尽くしている矢吹さんの声が後ろから聞こえてくる。
だけど、樹さんはそれを無視して歩いていく。
腕を掴まれている私は、そのままついて行くしかできなかった。