任侠☆バイオレンスラブ

厨房で後片付けを手伝った後、お風呂へと入る。



樹さんいわく、ここにいる人達の中で時間の割り当てがあるらしく、樹さんの次が空いているから、その時間に入ることになった。



長風呂をすると後に入る人が大変になるからなるべく早めに済ませたいところだ。



頭や体を洗っている最中、ご飯中の出来事を思い出す。



樹さん、片付けは女将さんがやるからやらなくていいって言ってたのに今日は片付けてたな。



もしかして、私が困ってたから助けてくれたのかな?



そう考えると、樹さんってぶっきらぼうっぽく見えるけど、なんだかんだで優しいんだよね。



お腹すいてる時にご飯作ってくれたり、服貸してくれたり・・・。



私の迎えのために用事を早く済ませたり、息が切れるほど探してくれたり・・・。



ちょっとだけ不器用だけど。



「・・・でも、新一くんは樹さんが優しいの意外って言ってたんだよな・・・圭介さんも・・・」



体を洗いながら思わず口に出してしまう。



もしかして・・・私だけに優しい?



今日迎えに来た時に女の子に囲まれてた時とか全く受け答えしてなかったから、女の子には優しいって訳でもなさそう。



昨日だって、新一くんが何か作ってって言った時、自分で作れって一蹴してたし。



・・・ま、まさか・・・ね。



偶然よ、偶然。



そう考えながらシャワーで体についた泡を洗い流し、お風呂を出た。



体を拭いて服を着てから、髪の毛をタオルで乾かしながら鍵を解除してお風呂場を出る。



タオルで髪の水気を切りながら廊下を歩いていると、目の前に前髪を下ろした樹さんが歩いてくるのが見えた。



樹さん、いつも前髪を上げてるからなんか新鮮かも。



「あれ?樹さん?どうしたんですか?」



「!!・・・圭介に飲みに誘われた」



私が声をかけると、私を見て驚いたように目を見開いたあとに答える樹さん。



樹さん、まだ成人してないけど・・・お酒飲むのかな?



「・・・お前、また髪の毛乾かしてねぇのか?」



「はい、ドライヤー持ってないので・・・。勝手に借りるのも申し訳ないなーと思って」



そんなことを考えている時、私から目を逸らしながら聞いてくる樹さんに正直に答える。



「・・・ったく・・・来い」



「え?どこに行くんですか?樹さん、圭介さんに呼ばれてるんじゃ──」



「いいから来い」



腕を掴まれ、グイグイと引っ張られる。



一体どこに行くんだろ・・・?


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