任侠☆バイオレンスラブ
翌日──
授業を終え、校門前まで歩いていこうとした時、後ろから友人である小春が私のことを追いかけてきた。
「・・・ねぇ、芽依」
「ん?なに?小春」
「あのさ、いつも迎えに来てる人、誰?」
「えっ!?」
突然の問いに、私は挙動不審になる。
小春とは帰る時別々だったし、樹さんと一緒になった時はない。
なのに、なんで樹さんが迎えに来てるってことを知ってるの・・・!?
「えーっと・・・き、近所のお兄さん!!最近物騒だからって送り迎えしてくれてるの!!」
「・・・ふぅん・・・。結構格好良い人だよね」
「う、うん。私もそう思う・・・」
何とか誤魔化そうとするけど、小春は目敏いところがある。
嘘は通じないけど、こう言うしかない・・・!!
「・・・ねぇ、今度芽依ん家行っていい?」
「えっ!ダメ!!」
私の元々住んでいた家は、契約期間が切れてしまって退去した。
だから、今遊びに来るってなると兵頭組の方へ遊びに行くことになる。
それだけは避けなきゃ・・・!!
「なんで?」
「えーっと・・・めっちゃ散らかってるからさ!」
「芽依、そう言っててもめっちゃ綺麗にしてるじゃん」
うっ・・・確かに・・・。
いつ誰が来てもいいように片付けは欠かさずやってるから、散らかってはいない。
だからといって、前にいた場所は契約切れてるから行けないし・・・!!
「こ、今回はマジでやばいから!!無理!!」
「ふぅん・・・わかった」
少し不思議そうにしながらも、納得してくれた様子の小春。
何とか誤魔化せたかな・・・?
さすがに小春に兵頭組にお世話になってるって事は言えないし。
言ったところで、信じてもらえなさそうだもん。
「あ、私迎え来たから帰るね!じゃあね、芽依!」
「うん、じゃあね・・・」
迎えの車を見つけた小春は、走ってその車へと向かっていく。
それを小さく手を振りながら見送った。
「・・・ずいぶんと苦しい言い訳だったな」
声がした方を向いてみると、樹さんが物陰から出てくるところだった。
どうやら、小春がいたから身を隠していたみたい。
「私だって必死だったんですよ〜・・・」
本当なら事実をありのままに説明したいけど、組長さんが話すなって言ってから下手くそなりに誤魔化してるのに・・・。
「・・・ふっ・・・そうか」
口元に手を当てて、控えめに笑う樹さん。
その姿にドキッと胸が高鳴り、思わず見惚れてしまう。
樹さん・・・笑った・・・。
「ほら、行くぞ」
「はい」
すぐに元の表情に戻ってしまう樹さんに少し残念に思いながら、車へと向かう。
だけど・・・優しい笑い方だったな・・・。