任侠☆バイオレンスラブ
白石 芽依side



樹さんに告白してから、数日が経った。



だけど、あの日以来樹さんと顔を合わせていない。



私の気のせいかと思ってたんだけど、会わなさすぎる。



もしかして・・・避けられてるのかな?



そう考えている時、廊下で新一くんが歩いてくるのが見えた。



新一くんなら、樹さんがどこに行ったのか分かるかな?



「あ、新一くん」



「あ、芽依ちゃん。どうしたの?」



「あの・・・樹さん知らない?なんか、最近見ないなーと思って・・・」



私に声をかけられて足を止める新一くんに気になっていたことを聞く。



すると、え?みたいな表情をした新一くん。



「あぁ、芽依ちゃん聞いてない?樹さん、しばらくここを離れるんだって。理由はよく分かんなかったけど」



「・・・え?」



新一くんの言葉に、私の思考は完全に停止した。



タイミング的に、私が告白したから・・・だよね?



もしかしなくても、避けられてるじゃん。



「樹さんに芽依ちゃんのことよろしくって言われたけど、芽依ちゃんのところには来なかったの?」



「・・・うん、来てないよ」



「へぇ、珍しいこともあるんだね。芽依ちゃんには絶対言うと思ってた」



私の記憶が正しければ、あの日以来樹さんとは顔を合わせていない。



私が告白したから・・・。



・・・こんなことになるなら、告白しなきゃ良かったな・・・。



「・・・?芽依ちゃん?どうしたの?」



黙り込んでうつむいていると、不思議に思ったのか顔を覗き込んで心配そうにしている新一くん。



新一くんには前に樹さんが好きなことを話してるし・・・相談に乗ってくれるかな?



「・・・私、告白したの。樹さんに・・・」



「!!ってことは付き合った──」



「でも、振られたの。付き合えないって」



新一くんの言葉を遮るように、事実を伝えた。



改めて口にすると結構くるな・・・。



「は?なんで?」



「わかんない。大事だからダメだって言われた」



そんなの、私が知りたい。



だって、あの口振りは私のことが好きだって言ってるようなものだった。



なのに・・・なのに、結果はこれだ。



「・・・樹さん・・・なにしてんだ・・・?」



「私、あの時から樹さんに会ってないんだ。・・・もしかして、避けられてるのかな?私のことなんとも思ってないから、迷惑だったのかも・・・」



「そんなことないよ。まだ本人から直接言われた訳じゃないんだし。帰ってきてから樹さんに聞いてみなよ」



「・・・うん」



新一くんの言葉に、素直に頷く。



そうだ・・・まだ本人の口から確かめたわけじゃない。



決めつけるのは、良くないよね。

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