任侠☆バイオレンスラブ
バイトが終わり、荷物をまとめて裏口から出る。
すると、目の前に頭に包帯を巻いた男の人が立っていた。
この人、あの時倒れていた男の人だ。
「あっ・・・!!お兄さん!あの時、大丈夫でしたか?心配して──」
「お前、狙われてんぞ」
「・・・はい?」
“心配していたんですよ”そう言おうとした時、私の言葉を遮って話し出す男の人。
その言葉に、私はハテナを浮かべた。
狙われてる・・・?私が?
「ちょっと来い」
「あ、待って・・・!」
訳の分からないまま男の人に腕を引かれ、近くに止めてあった車へと連れていかれる。
えっ・・・これってヤバくない・・・!?
「あ、あの・・・!!」
「大丈夫だ。何もしねぇ。俺の命をかけてもいい」
私がやめてくださいと言いかけた時、察したのか何もしないと言い切った。
命をかけて・・・か。
そこまで言うなら・・・抵抗しなくてもいいか。
そう思い、彼の指示通りに車の中に入った。
私を乗せたあとに運転席に座り、車を発車させる。
静まり返った車内で、どうしたもんかと思いながら運転する彼の背中を見た。
首周りが開いてる服を着ていて、その隙間から包帯らしきものが見え隠れしている。
「あの・・・どこに行くんですか?」
「すぐ着く、待ってろ」
私の問いかけに短く答えると、再び静寂が訪れる。
待ってろ・・・か。
とは言っても、聞きたいことがいっぱいあるんだけど・・・。
そう思いながら、車のシートに体を預け、外を見つめた。