任侠☆バイオレンスラブ
第3章 兵頭組
しばらく車を走らせ、唐突に停車した。
止まった車の目の前には、日本家屋の屋敷がそびえ立っている。
「着いた。降りろ」
「あ、はい・・・」
言われるがままに車を降りて、屋敷の中に誘導される。
男の人のあとを歩いていくと、とある部屋に通された。
「おう、樹。帰ったか」
「親父、連れてきたぞ」
中には、ローテーブルの前にあぐらをかいて座っている凛々しい男の人がいた。
この傷だらけだった人、“いつき”って言うんだ。
「その子が前に言っていた子か、よく来たね。立ってるのも疲れるだろう、座りなさい」
「は、はい」
威厳のある顔つきからは想像できないほど優しい口調で私に話しかけてくる。
その言葉に従い、用意された座布団の上に座った。
「もう既に聞いてると思うが、君は俺達兵頭組と敵対している組織──浜松組に狙われている」
「・・・はい?」
話についていけず、思わず聞き返してしまう。
兵頭組に、浜松組・・・?
それ、確かこの辺りを縄張りにしている極道の名前・・・だよね?
え?なんでそんな名前が出てくるの・・・?