義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!
49.騎士団団長side
息子が重傷を負った知らせが届いた。
現在は回復傾向にあるが、魔力暴行の結果は悲惨に尽きた。
美しかった顔は見るも無残な姿となり、左目の視力を失ったそうだ。
ジョバンニを酷い目にあわせたのは公爵家のミゲル様だと聞く。
なんでも、学園の規則に違反した息子達を叱責したところジョバンニが先に手を出した結果だと。いや、剣を抜いて斬りかかったらしい。
その結果、ミゲル様に足で蹴られたという話だ。
蹴りで半殺し状態にするとは恐ろしい。
「如何致しましょう。公爵家に抗議致しますか?」
部下がアホな事を聞いてくる。
「そんなことができる訳ないだろう。誰が聞いてもジョバンニが悪い」
「しかし!」
「怪我の件にしたって『正当防衛』が認められるだけだ」
「そんなことは有りません!!『過剰防衛』ではありませんか!! ジョバンニ様は一生ものの傷をおわされたのですぞ!!!」
「……剣を抜いたジョバンニが悪い。聞けば公爵家のミゲル様は丸腰だったと言うではないか」
「で、ですが……」
「この件は学内での行為として収まっている。下手に介入すればジョバンニに不利益が被るだけだ!!」
「団長、それはジョバンニ様のためですか?」
「何が言いたい?」
「いえ……」
何か言いたげな顔をしながらも何も言わず副団長は立ち去った。
彼はジョバンニを可愛がっていた。
冤罪事件の渦中でもジョバンニを陰ながら見守っていた程だ。
今回の一件に思うところがあるのだろう。
顔を蹴られたジョバンニは鼻の骨が砕かれ顔の形が変わった。そして、左目の視力を失ってしまったのだ。かつての美貌は元に戻らないという話だ。左目が失明。恐らくいずれは右目も見えなくなる恐れがあるだろう。
凄まじい暴力を浴びせられたジョバンニは生死の境をさまよい生還した。
それ以後は何かに憑かれたかの如く毎日訓練に身を捧げているそうだ。訓練というには苛烈過ぎる修練。心配した副団長はジョバンニの様子を見に行った。休息らしい休息を取らず、ひたすら強くなることだけに特化した訓練は鬼気迫るものであったらしい。
息子は強かった。天性の才能があったのだと思う。並の騎士では歯が立たないくらいの強さを幼い頃から身につけていたはずだ。だからこそ自分自身を許せなかったのかもしれない。自身を叩きのめしたのは騎士でも何でもない公爵子息の少年だったからだ。ジョバンニのプライドがそれを許さない。
『今のジョバンニ様は修羅のようです』
副団長の言葉が蘇る。
私は拳を強く握りしめることしかできなかった。
現在は回復傾向にあるが、魔力暴行の結果は悲惨に尽きた。
美しかった顔は見るも無残な姿となり、左目の視力を失ったそうだ。
ジョバンニを酷い目にあわせたのは公爵家のミゲル様だと聞く。
なんでも、学園の規則に違反した息子達を叱責したところジョバンニが先に手を出した結果だと。いや、剣を抜いて斬りかかったらしい。
その結果、ミゲル様に足で蹴られたという話だ。
蹴りで半殺し状態にするとは恐ろしい。
「如何致しましょう。公爵家に抗議致しますか?」
部下がアホな事を聞いてくる。
「そんなことができる訳ないだろう。誰が聞いてもジョバンニが悪い」
「しかし!」
「怪我の件にしたって『正当防衛』が認められるだけだ」
「そんなことは有りません!!『過剰防衛』ではありませんか!! ジョバンニ様は一生ものの傷をおわされたのですぞ!!!」
「……剣を抜いたジョバンニが悪い。聞けば公爵家のミゲル様は丸腰だったと言うではないか」
「で、ですが……」
「この件は学内での行為として収まっている。下手に介入すればジョバンニに不利益が被るだけだ!!」
「団長、それはジョバンニ様のためですか?」
「何が言いたい?」
「いえ……」
何か言いたげな顔をしながらも何も言わず副団長は立ち去った。
彼はジョバンニを可愛がっていた。
冤罪事件の渦中でもジョバンニを陰ながら見守っていた程だ。
今回の一件に思うところがあるのだろう。
顔を蹴られたジョバンニは鼻の骨が砕かれ顔の形が変わった。そして、左目の視力を失ってしまったのだ。かつての美貌は元に戻らないという話だ。左目が失明。恐らくいずれは右目も見えなくなる恐れがあるだろう。
凄まじい暴力を浴びせられたジョバンニは生死の境をさまよい生還した。
それ以後は何かに憑かれたかの如く毎日訓練に身を捧げているそうだ。訓練というには苛烈過ぎる修練。心配した副団長はジョバンニの様子を見に行った。休息らしい休息を取らず、ひたすら強くなることだけに特化した訓練は鬼気迫るものであったらしい。
息子は強かった。天性の才能があったのだと思う。並の騎士では歯が立たないくらいの強さを幼い頃から身につけていたはずだ。だからこそ自分自身を許せなかったのかもしれない。自身を叩きのめしたのは騎士でも何でもない公爵子息の少年だったからだ。ジョバンニのプライドがそれを許さない。
『今のジョバンニ様は修羅のようです』
副団長の言葉が蘇る。
私は拳を強く握りしめることしかできなかった。