いとこの早月くんは関西弁で本音を言う
10
校外合宿の次の日は土曜日。
ゆっくり休めるかと思いきや、校外合宿の作文を書かなくちゃいけなくて。
わたしは自分の部屋で原稿用紙とにらめっこをしていた。
一番印象に残っているのは……やっぱり、早月くんが女の子に告白されたこと。
けど、そんなこと書けるわけがない!
わたしは、カレー作りの話を中心に書くことにした。
何とか仕上がった頃、扉がノックされた。
「はぁい?」
「早月やけど。入っていい?」
「いいよ」
早月くんは、原稿用紙を持ってきていた。
「なぁ美奈ちゃん、作文書けてんけど、変なとこないかどうか読んでみてくれへん?」
「うん、わかった」
「俺は美奈ちゃんの読もうかな。できたん?」
「できたよ。じゃあ、交換ね」
わたしはこの時、初めて早月くんの字を見た。
お手本みたいに綺麗な字だ……!
「早月くん、字が上手だね!」
「そうかぁ? まあ習字はやっとったからな」
内容も、山登りの厳しさと達成感のことについて書かれていて、とても読みやすかった。
「早月くん、文書も上手!」
「美奈ちゃんのも良かったで。俺、料理はさっぱりやったからなぁ」
わたしはここで、気になっていたことを聞いてみた。
「学校では喋り方変えてるの……?」
「せやで。恥ずかしいもん。関西出身やてバレたら、面白いこと言うて、とかなりそうやし」
「あはは……それは困るね」
今度はわたしが質問される番だった。
「美奈ちゃんは部活入ったんやっけ?」
「部活じゃなくて生徒会。真凛に誘われて」
「ああ、あの写真撮ってくれた子やな」
「早月くんは入った?」
すると、早月くんは少し目を伏せた。
「いや……俺はええかな。本読むだけで楽しいし」
「そっかぁ……」
背が高いし、バスケ部やバレー部に入れば活躍できそうなのにな。
でも、それは余計なお世話だと思って言わなかった。
「ありがとう美奈ちゃん。読んでもらって自信ついたし、このまま提出するわ」
「わたしこそ、ありがとう」
そして、早月くんはわたしの部屋を出て行った。
早月くんがこの家にきてもうすぐ一ヶ月。
まだまだ知らないことがたくさんある。
わかったのは、この家の中だと早月くんはリラックスしてくれているということ。
これからも、早月くんが過ごしやすいように、わたしも頑張らなくっちゃ。
ゆっくり休めるかと思いきや、校外合宿の作文を書かなくちゃいけなくて。
わたしは自分の部屋で原稿用紙とにらめっこをしていた。
一番印象に残っているのは……やっぱり、早月くんが女の子に告白されたこと。
けど、そんなこと書けるわけがない!
わたしは、カレー作りの話を中心に書くことにした。
何とか仕上がった頃、扉がノックされた。
「はぁい?」
「早月やけど。入っていい?」
「いいよ」
早月くんは、原稿用紙を持ってきていた。
「なぁ美奈ちゃん、作文書けてんけど、変なとこないかどうか読んでみてくれへん?」
「うん、わかった」
「俺は美奈ちゃんの読もうかな。できたん?」
「できたよ。じゃあ、交換ね」
わたしはこの時、初めて早月くんの字を見た。
お手本みたいに綺麗な字だ……!
「早月くん、字が上手だね!」
「そうかぁ? まあ習字はやっとったからな」
内容も、山登りの厳しさと達成感のことについて書かれていて、とても読みやすかった。
「早月くん、文書も上手!」
「美奈ちゃんのも良かったで。俺、料理はさっぱりやったからなぁ」
わたしはここで、気になっていたことを聞いてみた。
「学校では喋り方変えてるの……?」
「せやで。恥ずかしいもん。関西出身やてバレたら、面白いこと言うて、とかなりそうやし」
「あはは……それは困るね」
今度はわたしが質問される番だった。
「美奈ちゃんは部活入ったんやっけ?」
「部活じゃなくて生徒会。真凛に誘われて」
「ああ、あの写真撮ってくれた子やな」
「早月くんは入った?」
すると、早月くんは少し目を伏せた。
「いや……俺はええかな。本読むだけで楽しいし」
「そっかぁ……」
背が高いし、バスケ部やバレー部に入れば活躍できそうなのにな。
でも、それは余計なお世話だと思って言わなかった。
「ありがとう美奈ちゃん。読んでもらって自信ついたし、このまま提出するわ」
「わたしこそ、ありがとう」
そして、早月くんはわたしの部屋を出て行った。
早月くんがこの家にきてもうすぐ一ヶ月。
まだまだ知らないことがたくさんある。
わかったのは、この家の中だと早月くんはリラックスしてくれているということ。
これからも、早月くんが過ごしやすいように、わたしも頑張らなくっちゃ。