いとこの早月くんは関西弁で本音を言う

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 早月くんが生徒会に入ったことで、大きな動きが出た。

 今まで帰宅部だった一年生の女の子たちが、こぞって生徒会にやってきたのだ。

 あからさまに、早月くん目当てだっていうのはわかるんだけど。

 西条先輩は、人手が増えることはいいことだから、と笑っていた。

 そして、早月くんにどんどん踏み込んでいくのは、やっぱり真凛だった。

 校内備品のチェックリストを作り終えて、暇になった時、真凛はすかさず早月くんに質問した。



「早月くんって、どんな子がタイプなの?」

「ええっ? タイプとか、特にないかも」

「じゃあ芸能人では誰が好き?」

「あまりテレビとか動画とか観ないから、わかんないんだよね」



 他の女の子たちが、聞き耳を立てているのがありありとわかる。

 けど、早月くんはどんどん真凛の攻撃をかわしていく。

 そして、早月くんは先に帰ってしまった。



「あーあ、早月くんってガード固いなぁ。なんにもわからなかったよ」

「真凛って、どうしてそんなに早月くんのこと知りたいの?」

「だって、気になるじゃない? 校内一のイケメンが誰と付き合うか!」

「真凛自身は早月くんと付き合いたいとは思わないの?」

「うん、それは解釈違い。誰かと結ばれたのを推したい!」



 真凛は時々、よくわからないことを言う……。



「あたしとしては、美奈が早月くんと付き合ったら素敵だと思うんだけどなぁ!」

「そんなことにならないよ、絶対」

「早月くんになら美奈のこと任せられる、って思ってるんだよね」

「だから、そうならないってば」



 真凛ったら……わたしの保護者?

 まあ、校外合宿の時も自販機まで連れて行ってもらったりなんかして、世話をかけている自覚はあるけど。

 帰ってから、夕飯までの間、わたしはリビングで早月くんと話した。



「なんか、ごめんね? 真凛が変な質問ばっかりして」

「ええよ、慣れとうし」

「そうなんだ?」

「小学生の頃も、あれこれ聞かれること多かったから。まあ、適当にするし、美奈ちゃんは心配せんでもええよ」



 キッチンに立っていたお母さんが叫んだ。



「二人とも、お皿並べるの手伝って!」



 わたしと早月くんで、四人分の食器を出した。

 こうするのが日課になってきて、すっかり早月くんは家族になったんだなぁ、という気がする。

 うっかり家でのことを学校で話さないよう注意しないと、なんて気を引き締める私だった。
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