いとこの早月くんは関西弁で本音を言う
15
早月くんの誕生日当日。
お父さんが運転する車に乗って、ホテルに行った。
レストランのビュッフェが美味しいんだ。
いつもは欲張って、お皿にたくさん盛り付けちゃうけど。
今日は早月くんのお祝いの場だから、控えめにしておいた。
デザートを食べ終わって、そろそろいいかなって思ったから。
わたしはプレゼントを差し出した。
「これ……趣味じゃなかったらごめんね?」
土壇場になって、自信がなくなってしまって、そんな言い方になってしまった。
「えっ、俺に?」
「うん……」
「今すぐ開けてもええん?」
「いいよ……」
まず、早月くんはメッセージカードを見た。
口元、ゆるんでる。
そして、巾着袋を開けた。
「わっ、ブックカバー? めっちゃ嬉しい! 俺、毎日使うわぁ!」
「無理しなくていいんだよ、無理しなくて」
「ほんまに嬉しいねんて。大事にするなぁ」
帰りの車の中で、早月くんは言った。
「叔父さん、叔母さん、それに美奈ちゃん。いつもお世話になってるのに……お祝いまでしてもろて。ありがとうございます」
お父さんが言った。
「いいんだよ。早月くんのことは、本当の息子みたいに思っているんだから」
そして、お母さんがこんなことを聞いた。
「寂しくない? お義兄さんとお義姉さん、年末まで帰ってこられないんでしょう?」
「たまに電話してるんで、大丈夫です。生徒会では美奈ちゃんと一緒やし、毎日楽しいですよ」
家に帰って、お風呂に入って。
冷たいものが飲みたくなったから、キッチンに行って麦茶をコップに注いだ。
すると、早月くんもキッチンにやってきたんだけど……。
「きゃっ!」
上半身、裸なんですけど!
「早月くん! 服! 服!」
「えっ? 暑いからそのまま出てきてしもた。ごめんごめん」
ちゃんとTシャツを着てくれたことを確認して、早月くんに向き直った。
「えっと、早月くんも喉渇いた?」
「そんなとこ」
「麦茶入れるね」
もう……早月くんったら、うちに馴染んでくれたのはいいけど、気を抜きすぎだよ!
「美奈ちゃん、ブックカバー、ほんまに気に入ったわ。俺のこと考えて選んでくれたんやなって伝わってきて……感動した」
「大げさだよ。その、いつも本読んでるからっていう単純な理由で選んだだけだよ?」
「それが嬉しいんやて。美奈ちゃんの誕生日、きちんとお返しするで」
「適当でいいよ、適当で」
わたしは麦茶を飲み干して、逃げるように自分の部屋に行った。
まあ、今回のプレゼント作戦は成功した……のかな?
お父さんが運転する車に乗って、ホテルに行った。
レストランのビュッフェが美味しいんだ。
いつもは欲張って、お皿にたくさん盛り付けちゃうけど。
今日は早月くんのお祝いの場だから、控えめにしておいた。
デザートを食べ終わって、そろそろいいかなって思ったから。
わたしはプレゼントを差し出した。
「これ……趣味じゃなかったらごめんね?」
土壇場になって、自信がなくなってしまって、そんな言い方になってしまった。
「えっ、俺に?」
「うん……」
「今すぐ開けてもええん?」
「いいよ……」
まず、早月くんはメッセージカードを見た。
口元、ゆるんでる。
そして、巾着袋を開けた。
「わっ、ブックカバー? めっちゃ嬉しい! 俺、毎日使うわぁ!」
「無理しなくていいんだよ、無理しなくて」
「ほんまに嬉しいねんて。大事にするなぁ」
帰りの車の中で、早月くんは言った。
「叔父さん、叔母さん、それに美奈ちゃん。いつもお世話になってるのに……お祝いまでしてもろて。ありがとうございます」
お父さんが言った。
「いいんだよ。早月くんのことは、本当の息子みたいに思っているんだから」
そして、お母さんがこんなことを聞いた。
「寂しくない? お義兄さんとお義姉さん、年末まで帰ってこられないんでしょう?」
「たまに電話してるんで、大丈夫です。生徒会では美奈ちゃんと一緒やし、毎日楽しいですよ」
家に帰って、お風呂に入って。
冷たいものが飲みたくなったから、キッチンに行って麦茶をコップに注いだ。
すると、早月くんもキッチンにやってきたんだけど……。
「きゃっ!」
上半身、裸なんですけど!
「早月くん! 服! 服!」
「えっ? 暑いからそのまま出てきてしもた。ごめんごめん」
ちゃんとTシャツを着てくれたことを確認して、早月くんに向き直った。
「えっと、早月くんも喉渇いた?」
「そんなとこ」
「麦茶入れるね」
もう……早月くんったら、うちに馴染んでくれたのはいいけど、気を抜きすぎだよ!
「美奈ちゃん、ブックカバー、ほんまに気に入ったわ。俺のこと考えて選んでくれたんやなって伝わってきて……感動した」
「大げさだよ。その、いつも本読んでるからっていう単純な理由で選んだだけだよ?」
「それが嬉しいんやて。美奈ちゃんの誕生日、きちんとお返しするで」
「適当でいいよ、適当で」
わたしは麦茶を飲み干して、逃げるように自分の部屋に行った。
まあ、今回のプレゼント作戦は成功した……のかな?