いとこの早月くんは関西弁で本音を言う
16
早月くんの誕生日が終わって、体育祭が近づいてきた。
生徒会でわたしに割り振られた仕事は、プログラム作り。
パソコンを使うんだけど、生徒会長の西条先輩に直接教えてもらうことになった。
「美奈ちゃん、キーボード入力はできる?」
早月くんが入って、鈴木という苗字が二人になったから、先輩たちからも美奈ちゃんと呼ばれるようになっていた。
「えっと、ゆっくりなら」
「こっちに入っているのが去年のデータね。これを今年用に書き換えるだけで大丈夫だよ」
わたしが椅子に座って、西条先輩がその後ろに立って、一緒にマウスを動かしているんだけど……近い! 近いよ!
操作を教えてもらうためだから、仕方ないかもしれないけれど、男の先輩とこんな距離で接するのなんて初めてだったから、鼓動が早くなってしまった。
ガラッと扉が開いて、入ってきたのは早月くん。
わたしたちを見るなり、ツカツカと寄ってきた。
「西条先輩。何してるんですか?」
「ああ、プログラム作りだよ。美奈ちゃんはパソコンに慣れてないから、教えてあげようと思って」
「パソコンなら俺、得意です。やりますよ」
「いや、美奈ちゃんがパソコンを覚えるのにいい機会だよ」
「それなら俺が教えます。西条先輩は他の仕事もあるでしょう?」
「まあ……そうだね」
それから、早月くんがパソコンを教えてくれたんだけど……わたしにはわかった。何か、いつもと違う。
何が違うのか、上手く言えないけど、早月くんは何かが違ったんだ。
「これで、文字の大きさが変えられるんだ。覚えた?」
「うん、大丈夫だよ」
「よくできました」
違和感を抱えたまま、作業は終わって。先に早月くんが帰って。
夕飯の時は、いつも通りだったから、気のせいかな、って思っていたんだけど。
お風呂に入って、ベッドに寝転がっていたら、扉がノックされた。
「入っていい?」
早月くんだ。
「うん、いいよ」
わたしはベッドのふちに腰かけた。
入ってきた早月くんは、唇を結んで、何だか難しそうな顔をしていた。
「どうしたの?」
「うん……あのさ。美奈ちゃんは、もっと自分のこと、自覚持った方がええと思うねん」
「へっ? 何の話?」
「隙だらけやねん。見てて危なっかしいわ。生徒会におる時は、俺が見張るから」
「えっ……ええっ?」
何が何だかよくわからないまま、早月くんは出て行ってしまった。
わたし、悪いことしたのかな……?
生徒会でわたしに割り振られた仕事は、プログラム作り。
パソコンを使うんだけど、生徒会長の西条先輩に直接教えてもらうことになった。
「美奈ちゃん、キーボード入力はできる?」
早月くんが入って、鈴木という苗字が二人になったから、先輩たちからも美奈ちゃんと呼ばれるようになっていた。
「えっと、ゆっくりなら」
「こっちに入っているのが去年のデータね。これを今年用に書き換えるだけで大丈夫だよ」
わたしが椅子に座って、西条先輩がその後ろに立って、一緒にマウスを動かしているんだけど……近い! 近いよ!
操作を教えてもらうためだから、仕方ないかもしれないけれど、男の先輩とこんな距離で接するのなんて初めてだったから、鼓動が早くなってしまった。
ガラッと扉が開いて、入ってきたのは早月くん。
わたしたちを見るなり、ツカツカと寄ってきた。
「西条先輩。何してるんですか?」
「ああ、プログラム作りだよ。美奈ちゃんはパソコンに慣れてないから、教えてあげようと思って」
「パソコンなら俺、得意です。やりますよ」
「いや、美奈ちゃんがパソコンを覚えるのにいい機会だよ」
「それなら俺が教えます。西条先輩は他の仕事もあるでしょう?」
「まあ……そうだね」
それから、早月くんがパソコンを教えてくれたんだけど……わたしにはわかった。何か、いつもと違う。
何が違うのか、上手く言えないけど、早月くんは何かが違ったんだ。
「これで、文字の大きさが変えられるんだ。覚えた?」
「うん、大丈夫だよ」
「よくできました」
違和感を抱えたまま、作業は終わって。先に早月くんが帰って。
夕飯の時は、いつも通りだったから、気のせいかな、って思っていたんだけど。
お風呂に入って、ベッドに寝転がっていたら、扉がノックされた。
「入っていい?」
早月くんだ。
「うん、いいよ」
わたしはベッドのふちに腰かけた。
入ってきた早月くんは、唇を結んで、何だか難しそうな顔をしていた。
「どうしたの?」
「うん……あのさ。美奈ちゃんは、もっと自分のこと、自覚持った方がええと思うねん」
「へっ? 何の話?」
「隙だらけやねん。見てて危なっかしいわ。生徒会におる時は、俺が見張るから」
「えっ……ええっ?」
何が何だかよくわからないまま、早月くんは出て行ってしまった。
わたし、悪いことしたのかな……?