いとこの早月くんは関西弁で本音を言う

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 テスト期間がやってきた。

 わたしは周りに人がいると集中できないから、自分の部屋にこもった。

 けれど、時々部屋のちょっとした様子が気になって、ノートを置く位置を変えてみたりなんかして。

 うーん、これじゃダメダメ!

 何か飲んで一息つこう、とキッチンへ行った。



「おう、美奈ちゃん」

「あっ、早月くん」



 見ると、早月くんはドリップコーヒーを作っているところだった。



「早月くんってコーヒー飲めるんだ?」

「ミルクと砂糖入れなあかんけどな。美奈ちゃんも飲みもんかぁ?」

「うん。確かお母さんがいちごミルク買っててくれたよねって思って」



 ソファに移動して、飲み物を飲みながら、それぞれの進み具合を報告した。



「わたし、英語が苦手。早月くんは?」

「俺は好きやで。っていうか、将来は英語使う仕事したいし」

「そこまで考えてるんだ。凄いね……」



 部屋に戻ってから、ふと思った。

 英語の勉強をしたいんだったら、伯父さんと伯母さんと一緒にシンガポールに行けばよかったんじゃないかな……?

 うーん。また一つ、謎が増えてしまった。

 早月くんが考えてること、やっぱりよくわからないよ。

 そして、テスト本番。

 精一杯やったつもり。

 けど、自己採点をしてみると本当にボロボロで。

 教室の机に突っ伏していると、真凛に笑われた。



「美奈ぁ、大丈夫?」

「全然できなかった……」

「まあまあ、中学入って最初のテストだし? そんなに気にすることないって!」



 テスト結果が貼り出される日は、少し遅れてしまって、真凛と一緒に人混みをかきわけて見てみたら。

 一位、鈴木早月……!

 しかも、どの教科も満点に近い!

 わたしは、上から数えた方が早くはあったけど、真ん中らへんだった。

 周りの子たちは早月くんの話ばかりをしていた。



「あんなにイケメンで、運動もできるのに、勉強もできるなんて!」

「マジ完璧だよね。早月くんって」



 真凛もこんなことを言い始めた。



「やっぱり美奈の相手は早月くんがいいと思うんだよね。うんうん。将来安泰だし、絶対いい旦那さんになるよ?」

「もう、真凛!」



 真凛はそんなことを言うけれど……。

 わたしは、早月くんとの差がハッキリしたように感じた。

 いとこなのに。いとこだから。

 近くて、遠い。

 早月くんは、こんなわたしが仲良くしてもいい人なの……?
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