いとこの早月くんは関西弁で本音を言う

24

 コンビニにたどりついた。店内に入ると、エアコンがよくきいていて一気に身体が冷えた。

 お目当てのスムージーは四種類。またもや、悩むわたし……。



「美奈ちゃん、ゆっくり選びやぁ」

「ごめんね……」

「そういう時は、ありがとう、でええんやで。美奈ちゃんすーぐ謝る癖ついとう」

「あ、ありがとう……」



 わたしはベリーにした。早月くんはメロン。

 会計を済ませて、機械にセット。あとはボタンを押して見守るだけ。

 出来上がったスムージーを手に、早月くんが先に歩き始めた。



「そこの公園で飲もうなぁ。確か屋根つきのベンチあるで」

「そうしようか」



 真夏の公園。こんなに強い日差しが降り注いでいるのに、小さな子供が遊んでいた。

 元気だなぁ……。

 わたしもつい何年か前までは、ああして遊んでいたのかもしれないけれど、中学生というのはやっぱり一つの大きな区切りになったのだろうか。

 ベンチに座ると、早月くんも子供の方を見てこう言った。



「俺と美奈ちゃんもああやって砂場とかでお山作っとってんで?」



 覚えてなくてごめんね、と言いそうになるのをすんでのところでこらえた。謝り癖がついていると言われたばかりだ。


「他には……どんなことしてた?」

「シャボン玉。塗り絵。折り紙。うん、色々やっとった」



 早月くんは、こんなにもわたしのことを覚えてくれているのに、わたしだけが忘れてしまっているというのは、やっぱり申し訳ない気分。

 スムージーを飲みながら、ぼんやりと幼い頃の自分たちに想いをはせていた、そんな時だった。



「あれっ……美奈ちゃん? 早月くん?」



 現れたのは、なんと西条先輩だった。重そうな大きなリュックサックを背負っていた。

 びっくりしすぎてわたしが何も動けないでいると、早月くんが口を開いた。



「西条先輩。お疲れさまです。どこかの帰りですか?」

「うん。図書館で宿題してた。二人は? もしかして、付き合ってたの?」



 夏休みなのに、二人っきりで公園にいたら、そういう発想になるよね!

 ち、違う、違います!

 心の中ではそう叫べたけど、実際には無理で、早月くんに流れを任せてしまった。



「ああ……俺たち、実はいとこ同士なんです。俺の家の事情で、美奈ちゃんの家に暮らすことになって、それで」

「そっか。同じ苗字だもんね。そういうわけだったんだ」

「このこと、内緒にしてもらえると助かります。バレると面倒な噂話とか広がりそうなんで……」

「もちろん、誰にも言わないよ。そっかぁ、いとこ同士だったんだ……」



 西条先輩は、爽やかに手を振って去って行った。

 きちんと内緒にしてくれそうだし、見つかったのが西条先輩でまだよかったかも……?
< 24 / 40 >

この作品をシェア

pagetop