いとこの早月くんは関西弁で本音を言う
25
西条先輩に見つかってしまって、ドキドキだったあの日から一週間。
もうすぐ七月が終わろうとしていた。
リビングには、封筒やチラシを入れておくレターケースが置いてあるんだけれど、そこに花火大会の案内が入っていることに気付いた。
「そっかぁ、もうそんな時期かぁ……」
この花火大会が行われるのは海辺で、電車を使わないといけない。
うちの地域どころか県外でも有名で、毎年たくさんの人が訪れる。
最後にお父さんとお母さんに連れて行ってもらえたのは、小学三年生の時。
花火自体の記憶はあやふやだ。リンゴ飴が美味しかったことをよく覚えている。
わたしったら、どこまでも食い意地が張っている。
そんなことを思いながら、案内をじっと見ていると、お母さんに声をかけられた。
「なぁに? 美奈、行きたいの?」
「うん……せっかくの夏休みだし……」
「えっと、いつ? あー、その日、お父さんもお母さんも仕事だ」
「そっかぁ」
それなら仕方ないな、と諦めかけたら、いつの間にか早月くんが隣にきていた。
「花火かぁ! 行きたいなぁ。叔母さん、俺が美奈ちゃんと一緒に行くのはあかん? ちゃんと美奈ちゃんのこと守るし」
守る、という一言に心臓がとくんと跳ねてしまった。
「うーん、中学生二人でかぁ。心配だけど、スマホもあるし大丈夫かな。美奈と違って早月くんはしっかりしてるし……」
「もう、お母さん! わたしはしっかりしてないっていうの!」
「だってそうじゃない」
「むぅ……」
って、問題はそこじゃない。
早月くんと二人で花火大会だなんて、それって正真正銘のデートでは……?
「じゃあ、叔母さん、オッケー?」
「いいよ。花火が終わったらまっすぐ帰ってくること。連絡はまめにちょうだいね」
「やったぁ!」
わたしの心配をよそに、すっかり行くことに決まってるし!
「でも美奈、浴衣どうするの? 小学生の時のじゃ小さいでしょう。新しいの買わないとね」
「えっ、浴衣っ? いいよ、普通の服で行くよ……」
「俺、美奈ちゃんの浴衣見たいなぁ!」
「早月くんもそう言ってるし。美奈、明日お母さんと買いに行こうか!」
「あっ、えっと、うん……」
話がどんどん進みすぎだよー!
でも、早月くんに、わたしの浴衣……見て欲しくないことも、ない。
そんなわけで、お母さんと浴衣を買いに行くことになった。
もうすぐ七月が終わろうとしていた。
リビングには、封筒やチラシを入れておくレターケースが置いてあるんだけれど、そこに花火大会の案内が入っていることに気付いた。
「そっかぁ、もうそんな時期かぁ……」
この花火大会が行われるのは海辺で、電車を使わないといけない。
うちの地域どころか県外でも有名で、毎年たくさんの人が訪れる。
最後にお父さんとお母さんに連れて行ってもらえたのは、小学三年生の時。
花火自体の記憶はあやふやだ。リンゴ飴が美味しかったことをよく覚えている。
わたしったら、どこまでも食い意地が張っている。
そんなことを思いながら、案内をじっと見ていると、お母さんに声をかけられた。
「なぁに? 美奈、行きたいの?」
「うん……せっかくの夏休みだし……」
「えっと、いつ? あー、その日、お父さんもお母さんも仕事だ」
「そっかぁ」
それなら仕方ないな、と諦めかけたら、いつの間にか早月くんが隣にきていた。
「花火かぁ! 行きたいなぁ。叔母さん、俺が美奈ちゃんと一緒に行くのはあかん? ちゃんと美奈ちゃんのこと守るし」
守る、という一言に心臓がとくんと跳ねてしまった。
「うーん、中学生二人でかぁ。心配だけど、スマホもあるし大丈夫かな。美奈と違って早月くんはしっかりしてるし……」
「もう、お母さん! わたしはしっかりしてないっていうの!」
「だってそうじゃない」
「むぅ……」
って、問題はそこじゃない。
早月くんと二人で花火大会だなんて、それって正真正銘のデートでは……?
「じゃあ、叔母さん、オッケー?」
「いいよ。花火が終わったらまっすぐ帰ってくること。連絡はまめにちょうだいね」
「やったぁ!」
わたしの心配をよそに、すっかり行くことに決まってるし!
「でも美奈、浴衣どうするの? 小学生の時のじゃ小さいでしょう。新しいの買わないとね」
「えっ、浴衣っ? いいよ、普通の服で行くよ……」
「俺、美奈ちゃんの浴衣見たいなぁ!」
「早月くんもそう言ってるし。美奈、明日お母さんと買いに行こうか!」
「あっ、えっと、うん……」
話がどんどん進みすぎだよー!
でも、早月くんに、わたしの浴衣……見て欲しくないことも、ない。
そんなわけで、お母さんと浴衣を買いに行くことになった。