いとこの早月くんは関西弁で本音を言う
29
八月の中旬になって、宿題が終わった。
読書感想文は、早月くんが読んだ中からオススメの本を選んだ。
夏休みも残り二週間。花火大会っていう大きなイベントは終わっちゃったし、真凛でも誘って軽く遊びに行こうかどうか、考えていた時だった。
西条先輩から連絡がきた。
「なんだろう……?」
生徒会のメンバーとは全員、連絡先を交換していたけど、こうしてメッセージがくるのは初めてだ。
内容を読むと、宿題が終わったかどうか、というそんな質問だった。
終わりました、と送ると、今度はなんと……一緒に遊びに行こうよ、っていうお誘い。
えっと、わたしと西条先輩の二人で?
なぜ、わたしなんかが選ばれたのかよくわからないけど、断りづらい。
やり取りは続いて、水族館に行くことになった。
当日、できるだけ綺麗めな水色のワンピースを着て部屋を出ると、早月くんと廊下でばったり。
「ん? 美奈ちゃんどっか行くん?」
「あっ、えっとね、真凛と! 真凛と水族館行くの!」
とっさに嘘をついてしまった。
「そっかぁ! 楽しんでおいで」
「うん!」
なぜ、本当のことが言えなかったんだろう。わからないまま、西条先輩との待ち合わせ場所に着いた。
「やぁ美奈ちゃん。来てくれて嬉しいよ。その服、すごく似合ってる」
「ありがとうございます」
西条先輩は、大人っぽい白いシャツに黒い細身のズボンだった。
かけているメガネは……いつもとは違う?
「西条先輩、メガネ……」
「あっ、気付いた? 学校でかけているのはオーバルっていう普通のやつで、こっちはウェリントンっていう大きめのやつ」
「へえ! そっちも素敵です」
「ありがとう」
水族館は、小学校の遠足で何回か行ったことがあった。
でも、こんな風に、男の先輩と二人きりで行くことになるなんて。
これも……デートだよね? どうなんだろう?
ううっ、デートの定義がわからなくなってきた。
水族館の入り口で、パンフレットを手に取った西条先輩は言った。
「あっ、イルカショーもうすぐだよ。いきなりだけど行っちゃおうか。席なくなると困るし」
「はい、わかりました」
西条先輩について、イルカショーの会場へ。
さすが夏休み。始まるまでまだ時間はあるのに、人で埋めつくされていた。
なんとか入れた端の方の席に座って待つ。その間、西条先輩に尋ねられた。
「早月くんとはずっと一緒に住んでるの?」
「今年の三月からです。早月くんのご両親が海外に転勤になって」
「そうだったんだ。二人、前から仲良いと思ってたからさ。あの日、いとこだって説明されて納得したよ」
「あはは……」
軽快な音楽が流れ、イルカショーが始まった。
読書感想文は、早月くんが読んだ中からオススメの本を選んだ。
夏休みも残り二週間。花火大会っていう大きなイベントは終わっちゃったし、真凛でも誘って軽く遊びに行こうかどうか、考えていた時だった。
西条先輩から連絡がきた。
「なんだろう……?」
生徒会のメンバーとは全員、連絡先を交換していたけど、こうしてメッセージがくるのは初めてだ。
内容を読むと、宿題が終わったかどうか、というそんな質問だった。
終わりました、と送ると、今度はなんと……一緒に遊びに行こうよ、っていうお誘い。
えっと、わたしと西条先輩の二人で?
なぜ、わたしなんかが選ばれたのかよくわからないけど、断りづらい。
やり取りは続いて、水族館に行くことになった。
当日、できるだけ綺麗めな水色のワンピースを着て部屋を出ると、早月くんと廊下でばったり。
「ん? 美奈ちゃんどっか行くん?」
「あっ、えっとね、真凛と! 真凛と水族館行くの!」
とっさに嘘をついてしまった。
「そっかぁ! 楽しんでおいで」
「うん!」
なぜ、本当のことが言えなかったんだろう。わからないまま、西条先輩との待ち合わせ場所に着いた。
「やぁ美奈ちゃん。来てくれて嬉しいよ。その服、すごく似合ってる」
「ありがとうございます」
西条先輩は、大人っぽい白いシャツに黒い細身のズボンだった。
かけているメガネは……いつもとは違う?
「西条先輩、メガネ……」
「あっ、気付いた? 学校でかけているのはオーバルっていう普通のやつで、こっちはウェリントンっていう大きめのやつ」
「へえ! そっちも素敵です」
「ありがとう」
水族館は、小学校の遠足で何回か行ったことがあった。
でも、こんな風に、男の先輩と二人きりで行くことになるなんて。
これも……デートだよね? どうなんだろう?
ううっ、デートの定義がわからなくなってきた。
水族館の入り口で、パンフレットを手に取った西条先輩は言った。
「あっ、イルカショーもうすぐだよ。いきなりだけど行っちゃおうか。席なくなると困るし」
「はい、わかりました」
西条先輩について、イルカショーの会場へ。
さすが夏休み。始まるまでまだ時間はあるのに、人で埋めつくされていた。
なんとか入れた端の方の席に座って待つ。その間、西条先輩に尋ねられた。
「早月くんとはずっと一緒に住んでるの?」
「今年の三月からです。早月くんのご両親が海外に転勤になって」
「そうだったんだ。二人、前から仲良いと思ってたからさ。あの日、いとこだって説明されて納得したよ」
「あはは……」
軽快な音楽が流れ、イルカショーが始まった。