いとこの早月くんは関西弁で本音を言う

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 クラスでも、文化祭の出し物について学級会が行われた。

 一組がやることに決まったのは喫茶店。

 といっても、生菓子とかは出せなくて、袋入りのお菓子と簡単な飲み物を出すだけみたい。

 どんなコンセプトにしようか、とクラスが盛り上がり始めて、真凛も積極的に意見を出していたけど、わたしは成り行きを見守るだけだった。

 テーマが「クラシカル」に決まって、それっぽく教室を飾ることになった。

 あとは、役割だけど……。



「はいはーい! 給仕係、あたしと美奈もやりまーす!」

「ちょっと、真凛!」



 真凛が勝手にわたしの名前を出した。担任の先生が言った。



「鈴木さん、どうする? やりたい?」

「えっと、まあ……他にする人がいないんだったら、やります」



 意外なことに、給仕係に手を挙げた人は少なくて、わたしはやることになってしまった。

 まあ、生徒会の仕事はプログラム作りだけだし、文化祭当日はすることがなかったし、ちょうど良かったかな?

 何より、真凛が一緒だったら何とかなるって思うし。

 その日、帰宅すると、早月くんが先にリビングにいるようだった。

 わたしは自分の部屋に逃げずに、早月くんと話すことにした。



「早月くん、ただいま」

「おかえり美奈ちゃん。何か飲む?」

「コーヒー……はまた今度でいいや。紅茶、自分で準備するね」



 紅茶を作って、早月くんの隣に腰かけた。そして、わたしから話題を振った。



「うちのクラスね、文化祭は喫茶店をすることになったの。早月くんのとこは?」

「お化け屋敷! 俺、おどかす役すんねん」

「わっ、そうなの?」

「もうメイクとか衣装のイメージも決まっててな。ああ、でも当日までのお楽しみ」



 今、わたし……ちゃんとこれまで通り話せてるかな?

 いとこ、できてるかな?

 早月くんが言った。



「人生初めての文化祭やもんなぁ。めっちゃ気合い入るわぁ」

「そうだよね。わたし、給仕係することになっちゃって」

「ほんま? 絶対行く! 可愛い衣装着るんやろ?」

「うーん、衣装係の子たちが何か用意してくれるみたいだけど、詳しくは知らないや」

「楽しみやなぁ。時間とか決まったら絶対教えてや!」



 うん、多分、大丈夫。

 話しながら、思い出していたのは、江東先輩のことだった。



「一緒にいられるだけでいいんだ。それだけでも楽しいから」



 わたしも、早月くんとこうして一緒にいられるだけで楽しい。

 江東先輩の言っていたことが、少しずつわかってきた。
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