いとこの早月くんは関西弁で本音を言う

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 西条先輩と江東先輩。

 真凛が言うには、西条先輩の方から「僕たち付き合ったんだ」と二年生の教室で宣言したらしい。

 その噂を早速捕まえているのだから、さすが真凛というか、何というか。

 でも、それ以上詳しい話はわからないみたい。

 真凛が他の子にその話をしている間にスマホを見ると、なんと江東先輩からメッセージがきていた。



「西条くんとのこと、気になるよね。時間あったら放課後お話ししよう」



 わたしはもちろん、よろしくお願いしますと送った。

 放課後、江東先輩と、駅前の喫茶店に行った。



「美奈ちゃん、どれでも好きなの選んでいいよ。今回は私のおごり」

「じゃあ……ミルクティーで」



 江東先輩は、単刀直入に話し始めた。



「私ね。西条くんが、美奈ちゃんのことが好きなこととか、告白してフラれたこととか、全部知ってたんだ」

「そ、そうだったんですか」

「西条くんは、私のこといい相談相手だと思ってたみたいで。全部聞いてたの。それが……文化祭で仕事をしている時かな。やっぱり私といるのが落ち着く、って言ってくれて……」

「それで……」

「こんなに近くに可愛い女の子がいること気づかなかった、ごめんって。私、笑っちゃった」

「わぁっ……!」



 凄い、西条先輩からの告白だったんだ!



「私、西条くんのことはすっかり諦めてたんだよね。でも、好きでいてよかった。私の存在、気づいてくれた」

「江東先輩、おめでとうございます」

「気持ちは隠しておこうと思ってたんだけどね。素直に好き、って言えるって……いいことだね」



 そう言ってはにかむ江東先輩は、いつもに増して綺麗に見えた。

 そして、話はわたしのことになった。



「で、美奈ちゃんは早月くんのこと好きなんだよね?」

「あっ……西条先輩から聞いちゃいました?」

「ううん。見てたらわかった。女の勘ってやつ?」

「わ、わわっ」

「どうするの?」

「どうしましょう……」



 ミルクティーに視線を落とした。江東先輩にもこの気持ちがバレているということは、本人に届いてしまうのは時間の問題かもしれない。



「結果論だけど」


 江東先輩が語りだした。



「私は、自分の気持ちを伝えてよかった。このまま卒業したらきっと後悔してた。でもね、決めるのは美奈ちゃん次第だよ。私と美奈ちゃんは別々の人間だから」

「そう、ですよね……」



 伝えるか、伝えないか。

 きちんと答えを出すべき時がきたのだ。
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