ラストウェディング ー余命半年、極道の花嫁になりましたー
アパートの家賃も滞ることなく支払えているし、食費にだって困ったことはない。

たまに自分へのご褒美としてすぐそこのスーパーで安売りのプリンを買うくらい。

テストで順位が上がった時とか、まぁそのくらいなんだけどね。

お金があるから、と言って散財したくはない。

少しでも貯金に回して。死ぬ間際にしあわせ園に寄付しようと思っている。

ひとり暮らしも1年近くしているからだんだんと節約術は身についてきたと思う。

「ふぅー…」

ゆっくりと息を吸い込んで吐く。

「なんか……身軽になっちゃったな」

重力のままにそんな独り言がポツリ、と落ちる。

‪”‬学生‪”‬って肩書きから外れた私は、どこか一松の寂しさも抱え、でも達成感のようなもの感じる清々しい気分でもあった。

そうだ。今日はご褒美プリンを食べよう!

今まで学校頑張ったし!

この街に越して来てからすっかり御用達のスーパーはここから徒歩5分ほどの距離。確か閉店は19時。

よしっ! まだ間に合うよね!

焼きプリンにしようか、それとも普通のプリンにしようか。そんな贅沢な選択をしながらスーパーまでの道を弾むような足取りで歩く。

森山の家にいる時はプリンなんて贅沢品でも何でもなかった。

‪”‬幸せのものさしは短く‪”‬

これは今の生活を始めて、得られた言葉。
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