ラストウェディング ー余命半年、極道の花嫁になりましたー
「ほらー」

2人のやり取りがおもしろくて、気がつけば涙は引っ込んでた。結くんも隣でちょっとだけ口角を上げている。

くるみさんとの蟠りが取れて、心のモヤモヤが晴れていく。結くんが私を思ってしてくれたこと。ヤクザなりのケジメ、じゃなくて、きっと私の為を思って別の方法を考えてくれたんだ……。

「ん。これも返す」

くるみさんが私に何かを差し出してくる。

何かと思えば指輪だった。

あっ…、そうだ。取られちゃってたままだった。

受け取って、それを薬指に通そうとしたその時。

結くんが横から口を挟んだ。

「それ、処分してもいいか?」

「えっ?」

なんで…

「そんな絶望したような目で見るな。結婚式でまたちゃんとした結婚指輪やるから」

結婚指輪…っ

なんだかキラキラした響きだ。

「はい……っ、あっ、じゃあっ、それはネックレスにしたい、です」

それも結くんがくれた大切なもの。

処分は…、したくない。

「分かった。あとでいい感じのチェーン買ってくるよ」

「ありがとうございます…っ」
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