ラストウェディング ー余命半年、極道の花嫁になりましたー
そこで気づく。てっきりこのままマンションに向かうと思ってたけど車窓を流れる景色はマンションに向かってはいない。どこに行くんだろう、と疑問に思っていた時、結くんが言う。
「ちょっと、事務所寄っていいか」
「事務所……、はい、分かりました」
最初。結くんの事務所の前でうずくまっていた私。だけどちゃんと行くのは初めてだった。
***
一見すると寂れた空気感が漂っているけれどシャッターを抜ければそこは高貴な作りで溢れていた。
不思議な形の金色のオブジェがたくさん。重厚な扉の真上にはどこの書道家が書いたのだろうか、と考えてしまうほどの迫力のある【霧矢組】の文字が額縁に入れられて飾られている。
一気に空気全てがガラリ、と変わって。ヤクザ感がプンプン漂っている。
「どうした?」
「あっ、いえ……っ」
思わずそれらに圧倒されて足が止まっていた。
改めて結くんの手を握り直す。
「「「若! お疲れ様です……!!!!」」」
扉を抜けると、両端に2列にズラッ、と並んだ沢山の男の人がこちらに向けて深々と頭を下げていた。こちらに、というか、多分結くんに向けてのもの。
ここへ来て、やっぱり結くんはすごい人なんだ、って思い知らされる。
「若。中でお待ちしてます」
「あぁ」
「ちょっと、事務所寄っていいか」
「事務所……、はい、分かりました」
最初。結くんの事務所の前でうずくまっていた私。だけどちゃんと行くのは初めてだった。
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一見すると寂れた空気感が漂っているけれどシャッターを抜ければそこは高貴な作りで溢れていた。
不思議な形の金色のオブジェがたくさん。重厚な扉の真上にはどこの書道家が書いたのだろうか、と考えてしまうほどの迫力のある【霧矢組】の文字が額縁に入れられて飾られている。
一気に空気全てがガラリ、と変わって。ヤクザ感がプンプン漂っている。
「どうした?」
「あっ、いえ……っ」
思わずそれらに圧倒されて足が止まっていた。
改めて結くんの手を握り直す。
「「「若! お疲れ様です……!!!!」」」
扉を抜けると、両端に2列にズラッ、と並んだ沢山の男の人がこちらに向けて深々と頭を下げていた。こちらに、というか、多分結くんに向けてのもの。
ここへ来て、やっぱり結くんはすごい人なんだ、って思い知らされる。
「若。中でお待ちしてます」
「あぁ」