ラストウェディング ー余命半年、極道の花嫁になりましたー
***
「じゃあ、明日朝9時に迎えに来ますね!」
「あぁ」
「車ありがとうございました。真柴さん」
「いーえ。結婚前夜? 楽しんで下さいっす!」
「はい」と、頷くと「このマンションの壁結構ぶ厚いっすからね!」と言われた。
もう…。真柴さんたら。
楽しんで下さいっす、ってそういう意味だったのか、と遅れて気付く。
マンション下で真柴さんの車を降りた私達はエレベーターに乗って、最上階を目指した。
シン、と静まり返るエレベーターの中。手元のビニール袋がカサカサと音を立てている。私は結くんと一緒にひとつのビニール袋を半分こして持っていた。
中身は先程事務所の帰りに、スーパーで買った今日の夜ご飯の食材。
もちろん体調が悪くなったらすぐに中断すること、っていう条件付きだけど今日の夜ご飯は私が作る予定。
メニューはこの前作れなかった肉じゃが。そしてケーキ。
この前の続きがしたかった。
もう過ぎてしまった結くんの誕生日。
また別の日にお祝いしよう、って決めてたから。「楽しみにしてる」って言ってくれたから。
どうしても実現したかったのだ。
***
最上階に到着して、結くんの後に続いて家の中に入る。
この家に帰るのはいつぶりだろう。
「じゃあ、明日朝9時に迎えに来ますね!」
「あぁ」
「車ありがとうございました。真柴さん」
「いーえ。結婚前夜? 楽しんで下さいっす!」
「はい」と、頷くと「このマンションの壁結構ぶ厚いっすからね!」と言われた。
もう…。真柴さんたら。
楽しんで下さいっす、ってそういう意味だったのか、と遅れて気付く。
マンション下で真柴さんの車を降りた私達はエレベーターに乗って、最上階を目指した。
シン、と静まり返るエレベーターの中。手元のビニール袋がカサカサと音を立てている。私は結くんと一緒にひとつのビニール袋を半分こして持っていた。
中身は先程事務所の帰りに、スーパーで買った今日の夜ご飯の食材。
もちろん体調が悪くなったらすぐに中断すること、っていう条件付きだけど今日の夜ご飯は私が作る予定。
メニューはこの前作れなかった肉じゃが。そしてケーキ。
この前の続きがしたかった。
もう過ぎてしまった結くんの誕生日。
また別の日にお祝いしよう、って決めてたから。「楽しみにしてる」って言ってくれたから。
どうしても実現したかったのだ。
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最上階に到着して、結くんの後に続いて家の中に入る。
この家に帰るのはいつぶりだろう。