ラストウェディング ー余命半年、極道の花嫁になりましたー
結くんの首筋を指さす。

ちょっとしたワガママだった。

「お好きにどうぞ」

ゴロン、と仰向けで寝転んでくれる結くん。

その上に遠慮がちに跨った。

自分から言ったことなのに、やけに緊張してしまう。

「明日結婚式なのに結構大胆なんだな。小桃って」

こういう時。

年上だなぁ、って感じさせられる。

私よりも余裕そうに見えるから。

「付けたく…、なっちゃったんです」

ゆっくりと結くんの頭の横に手をついて唇を首筋に付けてみる。

「…んっ」

ちゅー、と吸ってみれば今まで聞いたことがない甘い声が結くんから漏れる。

それが本人的に悔しかったのだろう。

「今度は俺」

ゴロン、と視界が回って。また私が下になる。
首を横に向けて。結くんの背中に手を回す。
唇を引き結んで、じっ、と耐えた。

「ぁぁっ……っ、んっ、あぁっ……っ、ぅう……」

くすぐったい……。

声なんか抑えられない。

全身の力が全て吸収されていく。

「…ついた」

その声に瞑っていた目を開けると結くんが不敵に微笑んでいた。

大人しく出来ました、と言わんばかりに子猫に向けるような眼差しで頭を撫でられる。その手を手探りでゆっくりと掴んだ私はそのまま自分の胸に持っていった。
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