ラストウェディング ー余命半年、極道の花嫁になりましたー
サナちゃんの声にすぐに泉さんが小走りでやって来た。

「はいはい​────あら! 茅島さん! え、茅島さん!?」

「あっ、泉さんっ、はい。茅島です」

「すっごく綺麗!! 今日は招待ありがとね! あ、っていうかもう茅島さんじゃないのかな?」

「ふふっ、はい。霧矢です。こちらこそ来て下さり、ありがとうございます」

今日が終われば、私はまた病院に戻らなければならない。きっとみんなと会うのは今日が最後。

時間までみんなとたくさんお話した。

泉さんとも。

「私…生まれ育った家が好きじゃなくて。ずっと自分の置かれた環境を心のどこかで恨んでいた気がします。でも今はそんなことなくて。前を向いていられてます。泉さんのおかげでもあります。いつも親切にしてくださり本当にありがとうございます」

「私なんて何もしてないわ…っ、ぐすんっ、」

「え、泉さん? 泣いてます?」

「だってっ、なんか嬉しくて…。茅島さんは私にとって我が子みたいなものだもの…っ」

涙を拭いながらも「あ、違った、霧矢さんかっ」と訂正する泉さん。

そんなふうに涙を流してくれるなんて思ってなくて、心にじんわりと泉さんの温かさが染み渡っていった。

その時。ドレスが軽くツンツン、と引っ張られ、視線を落とすとサナちゃんが抱きついてきた。
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