ラストウェディング ー余命半年、極道の花嫁になりましたー
それを知ってしまえば、いかにもヤクザらしくて。でもちょっと可愛い脅しだな。と思った。

「小桃に恋をして。俺の世界は輝いた。誰がなんと言おうと俺は小桃を世界で1番愛してる」

私は特別なものは何も持ってないのに、こうして真っ直ぐに愛を伝えてくれる結くん。

こんな素敵な人に出会えたのは奇跡だと思う。

嬉しいな……

「結くん」

私はもう、いつ何があってもおかしくない。

伝えたいことは伝えられるうちに伝えなきゃね。

「私を選んでくれて…、本当にありがとうございます」

せっかく綺麗にお化粧してもらったのに、今にも涙が溢れてしまいそうだった。

「こちらこそ。​────こら、泣いたら可愛い顔が台無しだ」

「はい…っ」

私……、あなたの隣にいる時間が1番輝いていられる気がします。



もし

生まれ変わることが出来たなら…、

また結くんの近くで日々を生きたいです。





『では、新郎新婦の登場です』

扉の向こうで放たれたそんな声が私たちの結婚式の始まりを告げた。

2人でゆっくりと歩むバージンロード。

送られる拍手。

「ももちゃーん」と私を呼ぶしあわせ園の子達。

目に涙を滲ませる泉さん。

ちょっと不満そうだけど拍手をしてくれるくるみさん。

その隣で「もっと愛想良くしなきゃまた若に怒られますよ」と、注意する真柴さん。

視界に飛び込む全ての景色がスローモーションに見える。時間の流れがいつもよりも穏やかでゆったりとしているように感じた。

結くんの隣で、私は幸せを噛み締めていた。

お母さんも天国で今日のこの日を見ていてくれてたらいいな。
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