ラストウェディング ー余命半年、極道の花嫁になりましたー
愛してます
***
救急車のサイレンの音がけたたましく鼓膜を刺激する。
「小桃……っ、頑張れよ…! あとちょっとで病院だから…!」
握られる手はすごく震えてて。
ポタポタ、と手に落ちてくるのは多分結くんの涙で。また結くんを泣かせてしまった自分が、本当に情けなかった。
「…っ」
そんな泣かないでください。
ごめんなさい。
って。言いたかったんだけど、上手く声にならなかった。
*
*
*
結くんにお願いして、結婚式の日に倒れたことは”ただの貧血”と、後日泉さん達に説明してもらった。
病気のことはしあわせ園のみんなにはどうしても言わないままがよかった。
あそこにはまだ小さな子供達がたくさんいる。みんなの記憶に残る私は、いつだって元気な姿のままがいいから。
きっともうみんなとは会うことは無い。
でも最後にちゃんとお礼を伝えられた。
みんなの顔がひと目見れた。
十分だった。
でも───────…
視界がぐにゃりと歪むのだけはどうしても避けられなかった。
ガラー、と病室の扉が開いて結くんが片手に何かを持ってやって来る。
救急車のサイレンの音がけたたましく鼓膜を刺激する。
「小桃……っ、頑張れよ…! あとちょっとで病院だから…!」
握られる手はすごく震えてて。
ポタポタ、と手に落ちてくるのは多分結くんの涙で。また結くんを泣かせてしまった自分が、本当に情けなかった。
「…っ」
そんな泣かないでください。
ごめんなさい。
って。言いたかったんだけど、上手く声にならなかった。
*
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結くんにお願いして、結婚式の日に倒れたことは”ただの貧血”と、後日泉さん達に説明してもらった。
病気のことはしあわせ園のみんなにはどうしても言わないままがよかった。
あそこにはまだ小さな子供達がたくさんいる。みんなの記憶に残る私は、いつだって元気な姿のままがいいから。
きっともうみんなとは会うことは無い。
でも最後にちゃんとお礼を伝えられた。
みんなの顔がひと目見れた。
十分だった。
でも───────…
視界がぐにゃりと歪むのだけはどうしても避けられなかった。
ガラー、と病室の扉が開いて結くんが片手に何かを持ってやって来る。