ラストウェディング ー余命半年、極道の花嫁になりましたー
「小桃。プリン買ってきた。甘さ控えめなやつ。看護師に聞いたらこれぐらいならいい、って。一緒に食べよ」

プリン……。

「はい……、ありがとうございます…」

もう、私にはあまり力は残ってなくて代わりに結くんがフタをペリっ、と剥がしてくれた。

スプーンを握ってパクリ、と食べる。

結くんも隣で自分の分を口に運んでいた。

言っていた通り控えめな甘さが口の中いっぱいに広がっていく。つい頬が緩んだ。

そういえば。

半年前の私はスーパーにプリンを買いに行こうとして、拉致されちゃったんだっけ。

懐かしい……。

きっと運命が少し違ってたなら。

あの時、無事にプリンを購入して。家で1人で食べていた私も存在していたのかもしれない。でも今こうして結くんと2人。病室で食べるプリンの方がきっと何倍も美味しいと思った。

たとえ甘さが控えめだとしても。きっとこっちの方が……何倍も…

「……ぐすんっ」

手を止めることなく、パクパクとプリンを口に運び続けた。スプーンの先端がカラメルソースに行き着いた時。我慢出来なくなって、小さく口を開いた。

「ゆい、くん…」

幸せをぶち壊してしまったようで。幸せを逃がしてしまったようで。ただただ申し訳なかった。

「本当にごめんなさ​────」

「謝らなくていい」

「…っ」
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