ラストウェディング ー余命半年、極道の花嫁になりましたー
「楽しかった。それでいいだろ? な?」

‪”‬余計な感情なんて持つ必要ない‪”‬

結くんはそう言って、私の頭を撫でてくれた。

「はい…」

「結婚式。楽しかったな」

「……っ、…はいっ、楽しかったっ、です……」

「あのー、サナちゃんだっけ? 入場した時さ、俺見てかっこいいーっ、て言ってたよな」

「…ぐすんっ、はい…」

宝石でも見てるみたいにキラキラした目で結くんのこと見てた……

「貧血だから大丈夫だよー、って伝えにしあわせ園行った時もさ、あの子、俺に話しかけてきたんだよ。ももちゃんとおにあいだねー、って」

天真爛漫で人見知りしない性格のサナちゃん。

その場にいないのに、結くんに話し掛けるサナちゃんの姿が瞼の裏に浮かぶようだった。

「あとさ、ももちゃん、ひんけつだいじょうぶー? はやくよくなってねー、って」

きっと心配かけちゃったよね…。

ごめんね。

「ももちゃん、けっこんしちゃったらもうサナとあそんでくれなくなっちゃうかなー、って…。…心配、してた」

そっか…。

いつもおにごっこ誘ってくれてたのに、結局1回も出来ないままだったな。1回くらい。全力でみんなのこと追いかけてみたかったな。

「…サナちゃん以外にも。みんな、小桃のこと大好き、だって」

「…ぐすんっ、」

「俺の方が愛してるから、って言ったらめっちゃブーイングの嵐だった」
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