ラストウェディング ー余命半年、極道の花嫁になりましたー
「そうだっ、ゆびわっ、ぐすんっ、ゆびわみせてっ…」

「んー? これか?」

指輪がついてる方の手をつぼみにも見えるように上げてくれるくみちょー。

「うんっ! ちょっとかして!」

「ちょっとだけだぞ?」

「うんっ!」

くみちょーがスー、とそれをつぼみの左手のお姉さん指に通してくれた。

「ぶかぶかー」

「つぼみちゃん手、ちっこいな」

「へへっ」

あっ、ここになんか文字書いてあるー。

指輪の裏側には【Y&K】と、彫られている。

誰かとおそろいなのかな?

「これかえすねっ」

「ん。もう落ち着いたか?」

つぼみのほっぺについた涙を拭ってくれるくみちょー。

「うんっ」

いつのまにかすっかり涙は引っ込んでて指輪に夢中だった。

「くみちょー」

「ん?」

「つぼみがおおきくなったらつぼみとけっこんしてー」

「…」

「んー。ごめんな。俺、忘れられない女がいるんだ」

少しの沈黙の後。
くみちょーにそう言われた。

何かを思い出してる、みたいなそんな顔をしている。

「つぼみは、‪”‬つけいるすきがない‪”‬ってこと?」

「はは、難しい言葉知ってるんだな」

「へへっ」

「そうだな。ごめんな」

申し訳無さそうに眉を下げるくみちょー。
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