ラストウェディング ー余命半年、極道の花嫁になりましたー
────私の母は、私を産むのと引き換えにこの世を去った。昔から身体が弱かったこともあって、難産だったらしい。
だから父は、私に冷たい。
”お前が生まれてこなきゃ、美代子はまだ生きていたんだ”
昔1度だけ、そう言われた。
美代子というのは私の実の母のこと。
このセリフを境に私は、父とはこれからもこの先も仲良くなれないんだろうな、と悟った。
「結婚か……」
誰に聞かせる訳でもなく、ポツリ、と呟く。
私だって、普通の女の子。
愛する人と生涯を共にする、ってなんだか素敵だ。でもきっと私には一生縁がないこと。
別のことを考えよう、と、化粧台に腰掛けて今日の縁談相手の為に結んだ髪を解いていく。
頬に流れた涙は、音も立てず衣服に吸収されていった。
────これは私が15歳の頃の話。
あれから月日は経ち、私が高校2年生にあがったタイミングで父が再婚して、義母がうちにやってきた。義母は私のことを除け者にする人で。完全に家に居場所を失った私は森山家とは縁を切り、家を出て行った。
だから父は、私に冷たい。
”お前が生まれてこなきゃ、美代子はまだ生きていたんだ”
昔1度だけ、そう言われた。
美代子というのは私の実の母のこと。
このセリフを境に私は、父とはこれからもこの先も仲良くなれないんだろうな、と悟った。
「結婚か……」
誰に聞かせる訳でもなく、ポツリ、と呟く。
私だって、普通の女の子。
愛する人と生涯を共にする、ってなんだか素敵だ。でもきっと私には一生縁がないこと。
別のことを考えよう、と、化粧台に腰掛けて今日の縁談相手の為に結んだ髪を解いていく。
頬に流れた涙は、音も立てず衣服に吸収されていった。
────これは私が15歳の頃の話。
あれから月日は経ち、私が高校2年生にあがったタイミングで父が再婚して、義母がうちにやってきた。義母は私のことを除け者にする人で。完全に家に居場所を失った私は森山家とは縁を切り、家を出て行った。