ラストウェディング ー余命半年、極道の花嫁になりましたー
知ってしまった愛
「準備出来たか」

デートは午後から行く予定になっている。
もう13時になるし、早く準備を済ませたいんだけど……

「あ、いや……ごめんなさい、まだです……。どれ…着てけばいいか分からなくて……」

ここでの生活を始めてから服は真柴さんが色々と買ってきてくれた。

制服1つでやって来たのに、今やクローゼットの中は大量のお洋服で埋め尽くされている。カジュアルなものからフォーマルなものまで色々。

選び放題、と言われればそうなのだけどデートなんて今までしたことが1度もないからどんな服が正しいのか分からない。

いつもスーツ姿ばかりの結くんも、今日は随分とラフな格好をしている。

すごく偏見だけどヤクザって、勝手に革ジャンとか龍の刺繍が沢山入ったTシャツとか着るものだと思ってた。

だけど実際の結くんの格好は白いシャツに薄手の黒ジャケット。シンプルだけど胸元に光るリングネックレスが合わさって、すごくオシャレなものだった。

……かっこいい。

すごく自然な流れでそう思っていた。

結くんがクローゼットを大きく開けて私の服を眺める。

「なんか…あんまいいのないな。……真柴の奴もっと可愛いの買ってこいよ」

隣でボソッ、と呟く声は独り言のつもりかもしれないけど丸聞こえ。
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