ラストウェディング ー余命半年、極道の花嫁になりましたー
「あ、2人でどっか出掛けるんすか?」
エレベーターに乗って1階に降りた時。ちょうど真柴さんと会った。結くんが短く答える。
「デートだ」
「おおっ!? 初デートっすか!?」
「あぁ」
「初デート、ってこの世の全てのカップルにおいて思い出に残るものらしいっすよ! 楽しんできてくださいっす!」
微笑ましく私たちを眺める真柴さんに見送られながらマンションを出て角を曲がった時。
結くんがさりげなく私の手を取った。
一瞬で意識は右手に。
スっと指が絡められて、あっという間に恋人繋ぎ。
「……」
私よりも大きくて。ゴツゴツしてて。包み込まれるような安心感のある手のひら。されるがままに私もそこにギュッ、と力を込めた。
「あの、どこに行くんですか?」
マンションを出てからずっと、結くんに着いていくまま歩いて15分ほど。ちゃんと目的地があるっぽいけれど一体どこに向かっているのだろう? と思って尋ねてみた。
「……あそこ」
「?」
結くんの視線の先を追いかける。
緑色の芝生が広がる噴水公園の一角…、そこにはクレープ屋さんがあった。
「クレープ、ですか」
「甘いもの嫌いか」
「いえっ、好きです…っ」
「そう、じゃあよかった」
エレベーターに乗って1階に降りた時。ちょうど真柴さんと会った。結くんが短く答える。
「デートだ」
「おおっ!? 初デートっすか!?」
「あぁ」
「初デート、ってこの世の全てのカップルにおいて思い出に残るものらしいっすよ! 楽しんできてくださいっす!」
微笑ましく私たちを眺める真柴さんに見送られながらマンションを出て角を曲がった時。
結くんがさりげなく私の手を取った。
一瞬で意識は右手に。
スっと指が絡められて、あっという間に恋人繋ぎ。
「……」
私よりも大きくて。ゴツゴツしてて。包み込まれるような安心感のある手のひら。されるがままに私もそこにギュッ、と力を込めた。
「あの、どこに行くんですか?」
マンションを出てからずっと、結くんに着いていくまま歩いて15分ほど。ちゃんと目的地があるっぽいけれど一体どこに向かっているのだろう? と思って尋ねてみた。
「……あそこ」
「?」
結くんの視線の先を追いかける。
緑色の芝生が広がる噴水公園の一角…、そこにはクレープ屋さんがあった。
「クレープ、ですか」
「甘いもの嫌いか」
「いえっ、好きです…っ」
「そう、じゃあよかった」