ラストウェディング ー余命半年、極道の花嫁になりましたー
一生懸命そうめんをすするみんなを見ていたら自然と気持ちが和やかになっていく。

「それなにー? ラムネー? サナもたべる!」

ポーチから薬を取り出す私にサナちゃんが興味を示した。

やば。うっかりしてた。

最近調子が悪いから毎食時に欠かさず飲んでいる薬。

ここで出しちゃったらそりゃ気になるよね。

「あ、ううん。これはお薬だよ」

「おくすり? ももちゃんどっかわるいのー?」

「……悪くないよ。ちょっとね、最近太ってきちゃったからダイエットしてるの。そのお薬」

心臓病のことを言わない代わりに、こうして徐々に私は嘘に染まっていく。

そんな自分に罪悪感は募るばかりだ。

「えー? ももちゃんぜんぜんふとってないよー!?」

「へへ、ありがとう」

​────高校3年。本来この時期は進路を明確にしなければならない大切な時期でもある。

先月行った進路希望調査。クラスメイトはみんななんとか大学ー、とか就職、とか各々この先自分が行きたい道を記入していた。

そうやってクラスのみんなが進路を選択している間。私は常にどこか他人事で特に何も選択をしなかった。

進路希望調査も、空白で提出した。
< 7 / 183 >

この作品をシェア

pagetop